MENU

アリソンが振り返るあのWBA戦のゴール

  • URLをコピーしました!

https://www.theplayerstribune.com/alisson-becker-premier-league-soccer-liverpool-brazil

こちらの投稿は上記の記事を引用しています。

アリソン・ベッカー

父が亡くなってから3か月後、息子のラファエルが誕生しました。私と妻にとって、それはまるで希望が再び生まれたかのようでした。私たちの人生に再び光が差し込んだのです。彼の名前には特別な意味があります。ヘブライ語で「神は癒された」という意味を持っているのです。

ラファエルが生まれて6日後、今でも説明できない出来事が起きました。

私たちはウェストブロムとの大事な試合を戦っていました。チャンピオンズリーグ出場権を懸けていて、絶対に勝たなければならない試合でした。けれども何をやってもうまくいかないように感じる日というのはあるもので、試合は1-1のまま残りわずかになっていました。キーパーにできることは少なく、ただゴール前に立って無力感を抱くだけ。

しかし、そのときコーナーキックを得ました。ゴールキーパーコーチが私にピッチを駆け上がれと叫びました。もう失うものはない。私は全速力で走り、ちょうどトレントがコーナーを蹴る瞬間にペナルティエリアに到着しました。正直なところ、ゴールキーパーは自分が点を取るなんて決して思わないものです。

ただ、ボックスに入り混乱を作り出すだけ。

次の瞬間、ボールが自分の顔に向かって飛んできて、私は頭で合わせ、地面に倒れました。その直後、暖かい光に包まれたんです。そうとしか表現できません。気づけば皆が私を抱きしめていました。チアゴが泣きながら抱きしめてくれる。フィルミーノは泣きながら笑い、同時に抱きしめてくれる。モーは子どものように飛び跳ねて喜んでいる。彼が他人のゴールであんなに嬉しそうにしているのは初めて見ました(笑)。純粋な喜びでした。

しかも無観客試合だったからこそ、なおさら特別でした。観客の大歓声はなく、私が感じられたのは、人生で最も辛い時期を共に支えてくれた仲間たちの愛だけだった。ベンチ全員、スタッフ、キットマンまでもが大声で喜んでいて、まるでコップの前に戻ったように感じました。

私は空を見上げました。イングランド特有の灰色の雨の日でしたが、私には光に満ちているように見えたのです。

「パイ…パイ…」

「これはあなたのためだよ、父さん!」

ロッカールームに戻り、スパイクを脱ぎながら考えずにはいられませんでした。大切な人を失ったとき、必ず自分に問いかけてしまうものです。

「父は見てくれていただろうか?あの瞬間を一緒に見てくれていたのだろうか?」

私は信仰を持つ人間です。それは多くの人が知っています。しかし、いつもそうだったわけではありません。本当の信仰を持ったのは人生の後半になってからでした。若い頃は“家の中の”クリスチャンでした。両親は毎日祈っていましたが、教会に行くことはほとんどなかった。私は神を信じていましたが、それは遠い存在の神でした。

けれども歳を重ね、人生の喜びも苦しみも経験する中で、神は想像以上に近くにいるのだと気づきました。信仰は目に見えるものでも、言葉で表せるものでもありません。それはただの感情やスローガンを超えた力であり、神の子イエス・キリストへの完全な信頼なのです。

私はフットボールで最も力強い歌の冒頭を耳にするたび、このことを思い出します。

「When you walk …. through a storm….(嵐の中を歩くとき…)」

世界には5,000ものサッカーの歌がありますが、この歌ほど心に響くものは他にありません。なぜでしょうか? それは、この歌が人生の本当の意味を歌っているからだと思います。

誰であろうと、いつか本当の苦しみに直面します。夢は吹き飛ばされ、愛する人を失う日が必ず来る。

そのとき、誰もが自分に問いかけずにはいられません。

「彼らはまだ私たちを見守っているのだろうか? もう一度会えるのだろうか?」

私は、いつか父にまた会えることを願っています。永遠の岸辺で、チマラォンを片手に持った父と出会い、かつてのように釣りをしたい。ただ言葉少なに、水のそばで過ごしたいのです。

その日まで、私はひとつだけ確信しています。

私は決して、ひとりでは歩まない。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次