フロリアン・ヴィルツは今夏、バイエル・レヴァークーゼンからリバプールに移籍して以降、ドイツ国内で最も注目を集める選手の一人となっている。しかし、加入以降のプレミアリーグでまだ得点もアシストもないことから、バイエルン・ミュンヘン関係者からは冷ややかな声も上がっていた。
そんな中、ドイツ代表チームのマネージングディレクターを務めるアンドレアス・レッティヒ氏が、バイエルンのレジェンドであるカール=ハインツ・ルンメニゲの発言に対し、ヴィルツを力強く擁護した。
バイエルン側「ヴィルツはリバプールではなくバイエルンに来るべきだった」
今夏、ヴィルツは£116m(約215億円)の移籍金でリバプールへ加入。
しかし、かねてより彼を狙っていたバイエルンの元CEOルンメニゲ氏は、ドイツ誌『Sport Bild』に対し次のように語っていた。
「正直に言って、フロリアン・ヴィルツの件はいまだに痛い。彼には同情している。なぜなら、彼にとってリバプールよりもバイエルンの方が良かったと思うからだ。」
レッティヒ氏「フロリアンはリバプールで成功する。議論の余地はない」
この発言を受け、ドイツ代表が10月のインターナショナルブレイクに入ったタイミングで、レッティヒ氏は記者団からコメントを求められた。
「クラブ関係者として、自分のチームに来なかったドイツ最高の選手についてそう言いたくなる気持ちは理解できます。彼を逃したことに涙を流すのも分かります。」
と、まずはルンメニゲを軽く皮肉ったうえで、続けてこう語った。
「ただ一つ確かなのは、フロリアンはリバプールで成功するということです。それについて議論の余地はありません。彼ほどの才能ある選手が成功しないなど、誰も本気では言えないでしょう。」
フェラー氏も擁護「リバプールでのプレーは時間が必要」
ドイツ代表のスポーツディレクターを務めるルディ・フェラー氏も、ヴィルツの現状に理解を示している。Sky90で次のように語った。
「大きな違いは、レヴァークーゼンではチーム全体が常に彼を探していたことです。グラニト・ジャカ、アレハンドロ・グリマルド、ロベルト・アンドリッヒといった選手が試合をコントロールしていましたが、フロリアンが動けば、必ず彼にボールが渡った。若い頃からすでに“司令塔”だったのです。」
さらに、フェラー氏はリバプールでのヴィルツをこう分析する。
「リバプールでの試合をいくつか意識的に見ましたが、彼は本当に多くの仕事をこなし、走り、スプリントを繰り返し、裏への動きも多い。ただ、レヴァークーゼンや代表でのようにボールを受けられていない。それは何週間、何か月もかけて作り上げていくものです。」
そして、彼の人間性にも言及した。
「彼は、ボールが3回自分に来なかったからといって、頭を下げて立ち尽くすような“気難しい10番タイプ”ではありません。フロリアンはそういう選手ではない。彼は並外れたフットボーラーであると同時に、素晴らしい人格の持ち主です。常に全力でプレーし、最後の瞬間まで諦めない。走行距離のデータを見ても驚くほどです。彼はいずれ必ず適応し、自分を証明するでしょう。」
最後にフェラー氏は、代表チームでの10日間の活動を楽しみにしていると語り、次のように締めくくった。
「彼がこの10日間、代表に合流してくれて本当に嬉しい。素晴らしい2試合を見せてくれると確信しています。」
「彼はイングランド人に自分の実力を見せつける」──フェラー氏が太鼓判
フェラー氏は今月初め、『BILD』の取材にもこう語っている。
「彼は焦る必要なんてない。新しいリーグ、新しいクラブでプレーしているのだから、これは普通の適応の問題です。ほとんどのプロ選手が経験することです。彼の走力とプレー能力を考えれば、必ずブレイクスルーを果たすと私は確信しています。」
編集後記
バイエルンからの“嫉妬混じり”の発言が相次ぐ中、ドイツ代表首脳陣が一丸となってヴィルツを守る構図が浮き彫りになった。
彼のポテンシャルと人間性を誰よりも知るフェラーとレッティヒの信頼が、その未来を保証している。
リバプールファンにとっても、これは心強いメッセージだ。
ヴィルツがアンフィールドで本領を発揮するのは、時間の問題かもしれない。
こちらの投稿は上記の記事を引用しています。
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