「クラブ史上初のヨーロッパ挑戦を優先せざるを得なかった」
リバプールが今夏、最大の補強ターゲットとして動いていたマルク・グエヒ。
プレミアリーグ王者による総額3,500万ポンド(約70億円)のオファーは成立目前まで進み、グエヒ本人もアンフィールド移籍に前向きだった。
しかし、9月1日夜──すべては土壇場で覆された。
その裏側で、ひとつの“クラブ史上初の挑戦”が大きな決断を左右していた。
「欧州の舞台に立つために」──会長スティーブ・パリッシュが明かした決断の裏側
英ラジオ局『talkSPORT』のインタビューで、クリスタル・パレス会長スティーブ・パリッシュは、リバプール移籍を破談にした“真の理由”を初めて明かした。
「これは非常に難しい決断だった。こういう問題は白か黒では割り切れないんだ。最終的に私は、助言を踏まえたうえでこう判断した。“マルクを残した方が、チームにとって良いシーズンになる”とね。」
パリッシュは、その判断を支えた最大の理由として、クラブ史上初となるヨーロッパ・カンファレンスリーグ出場を挙げた。
「私たちは勘で動いたわけではない。冷静に考えれば、プレミアリーグに残る価値、そして欧州の舞台で戦うというクラブ史上初の状況を考えれば──この特別なシーズンでキャプテンを手放すことは、現実的ではなかったんだ。」
移籍寸前での破談──「監督が辞任を覚悟した」
実際、リバプールとパレスは9月1日に基本合意しており、グエヒはすでにロンドンでメディカルチェックを受ける予定だった。
だが、事態は急転する。後任CBとして交渉していたブライトンのイゴール・ジュリオが、最終的にウェストハムへのローン移籍を選択。
代役確保が不可能となったのだ。
さらに、報道によれば、オリヴァー・グラスナー監督がクラブ上層部にこう伝えたという。
「グエヒを放出するなら、私はチームを去る。」
この圧力もあり、パレスは最終的に移籍を破棄。
グエヒは残留を受け入れ、クラブとともに欧州挑戦に臨むこととなった。
「もし10位と14位の差だけなら…売っていたかもしれない」
パリッシュ会長は、今回の判断が“感情論”ではなく“現実的な投資判断”だったと強調する。
「もし、マルクを残すかどうかで順位の差が“10位か14位”程度の話なら、たぶん“お金を取るべきだ”と考えていたかもしれない。でも今回は違う。私たちは“歴史を作るシーズン”の真っ只中にいたんだ。」
終わらない物語──「クラブの誇り」か、「次の栄光」か
パレスにとってグエヒの残留は、クラブの魂を守る“歴史的な決断”だった。
一方で、リバプールにとっては、未完のまま終わった“センターバック補強の第一章”でもある。
「歴史を優先したクラブ」と、「未来を見据えるクラブ」。
その2つの信念が、再び交差するのは──
2026年夏の移籍市場。
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