リバプールFCのCEOビリー・ホーガンが、フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)のオーナーシップ15周年を迎えるにあたり、クラブの歩みと今後の展望を語った。
彼の言葉から浮かび上がるのは、15年間の壮大な再建の軌跡、そして“勝利を積み重ね続ける”という揺るぎない信念だった。
「破産寸前から、世界の頂へ」──15年という壮大な旅路
2010年10月15日。FSGが正式にリバプールを買収し、新時代の幕が開いた。
当時クラブは経営危機にあり、破産寸前の状態に追い込まれていた。
「あの頃のリバプールは本当に厳しい状況にありました。それを思えば、いまこうしてプレミア王者として迎えられるのは信じられないことです。この15年はまさに“旅”そのものでした。」
— ビリー・ホーガン
FSGは買収直後からピッチ内外の再建に着手。
その後の15年間でクラブは劇的な進化を遂げ、2度のプレミアリーグ制覇、チャンピオンズリーグ優勝、女子チームの2度のWSL制覇など数々の栄冠を手にした。
FSGが掲げた3つの柱:フットボール・インフラ・商業
ホーガンは、FSGの経営方針を「3本柱」で整理する。
①フットボール
マイケル・エドワーズやイアン・グレアム、そして監督たちによる長期的なチームビルディング。持続的な競争力を重視し、選手育成と分析の基盤を築いた。
②インフラ
アンフィールドの2度の拡張(収容6万1,000人超)、AXAトレーニングセンターの建設、そして女子チームのためのメルウッド再取得。 「アンフィールドに留まる」という信念のもと、歴史と未来を融合させた。
③商業
持続可能な運営を目指し、パートナーシップを強化。スタンダードチャータードやカールスバーグといった長期スポンサーに加え、Expedia・AXAなど新たなグローバルブランドが加わった。
クロップという“完璧な出会い”
FSGの時代を象徴する人物、それがユルゲン・クロップだ。
2015年に就任した彼は、クラブの文化そのものを再構築した。
「ユルゲンはリバプールに完璧にフィットしていました。彼の情熱、価値観、そしてリーダーシップはこのクラブに永遠に刻まれる。彼はレジェンドであり続けるでしょう。」
— ホーガン
クロップ体制で8つのトロフィーを獲得。
その後、彼の退任発表は世界を驚かせたが、後任のアルネ・スロット就任、そしてマイケル・エドワーズ体制の復帰によって、クラブは滑らかに次の時代へと移行した。
「5年越しの歓喜」──アンフィールドでのプレミア制覇
「2020年の優勝は無観客で、どこか心残りがありました。だからこそ、2025年にアンフィールドでトロフィーを掲げられた瞬間は言葉にならなかった。」
— ホーガン
5年越しに実現したファンと共に祝うプレミア制覇。
その瞬間、クラブの15年間の努力がひとつに結実した。
ピッチ外でも「世界一のクラブ」へ
リバプールは今、ピッチの外でも進化を続けている。
- グローバルパートナー:直近18か月で10社の新規契約
- 世界中のLFC公式店舗:22店舗に拡大(世界最多)
- SNS総フォロワー数:2億人超/年間17億エンゲージメント
また、アンフィールドではスウィフト、ブルース・スプリングスティーン、デュア・リパらがライブを開催。
試合日以外にも人々が集う“文化の中心”としての役割も果たしている。
「困難な時こそ、家族のように」
ホーガンはこの夏の出来事にも言及した。
女子チームのマット・ベアード元監督、そしてディオゴとアンドレの訃報。
クラブは彼らの名を永久に残すための追悼プロジェクトを進めている。
「悲しみの中でも、クラブ全体が“家族”として支え合いました。ファンが見せた愛と連帯は、本当に胸を打つものでした。」
追悼Tシャツやネーム収益などからすでに20万ポンド以上がLFC財団へ寄付され、
若年層育成プログラムに充てられている。
「15年を経て、まだ道の途中」
「この15年で多くを成し遂げましたが、私たちは止まりません。は常に“競い、勝つ”ために存在するクラブです。」
— ホーガン
クラブは今後も「Red Way」プログラムを中心に、人・地域・地球に配慮した持続的な運営を推進していく。
「FSGとともに、そして世界中のファンとともに、我々はこれからも前へ進み続けます。」
ホーガンの言葉には「誇り」と「決意」が共存している。
15年の軌跡はゴールではなく、次の栄光へのプロローグだ。
アンフィールドの灯は、これからも決して消えることはない。
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