“ワールドクラスのウインガー”を逃した理由とは?
バルセロナ前監督のシャビ・エルナンデスが、リバプールからルイス・ディアスの獲得を試みていたことを明かした。
しかし、当時のクラブ財政は深刻な状態にあり、取引は「不可能」だったという。
コロンビア代表ウインガーのディアスは、2025年夏にリバプールからバイエルン・ミュンヘンへ移籍。
移籍金は6,550万ポンド(約122億円)。リバプールとの契約延長交渉が難航したことから退団を決断した。
その際、バルセロナも接触を試みたが、リバプールは当初「非売品」として交渉を拒否。
それでもディアス本人の移籍意思と、バイエルンの粘り強い姿勢が最終的に取引成立を後押しした。
「経済状況は悲惨だった」──シャビが語る“幻の補強”
シャビは、コロンビアのテレビ局『Gol Caracol』のインタビューでこう語っている。
「(ディアスへの関心は)本物だった。だが当時の経済状況は本当に悲惨で、取引を成立させるのは極めて難しかった。私やスタッフにとっても、彼は“最優先ターゲット”だった。だが、実現は不可能だったんだ。」
さらに彼は、ディアスを高く評価していた理由も明かした。
「彼はワールドクラスの選手で、試合を決定づける力を持っている。圧倒的なスピード、得点力、アシスト能力、そして何よりも勤勉なウインガーだ。」
バルサの財政難と、叶わなかった夢
シャビは2021年11月に監督に就任。
そのわずか2か月後、ディアスはFCポルトからリバプールへ最大4,900万ポンド(約91億円)の移籍で加入していた。
バルセロナはディアスを高く評価していたものの、クラブの財政難により動くことができなかった。
2022/23シーズン、シャビはラ・リーガ制覇を達成したが、翌シーズンは無冠に終わり、チームを去ることになる。
在任中、クラブはディアスを繰り返しリストアップしていたが、最終的に手に入れることはできなかった。
ちなみに、ディアスは幼少期からバルセロナの熱心なファンとして知られており、かつて憧れたクラブへの加入は“幻の夢”となった。
デコが語る「なぜディアスを獲得できなかったのか」
バルセロナのスポーツディレクターであるデコも、同様にディアス獲得が破談した理由を明かしている。
スペイン紙『ムンド・デポルティーボ』の取材に対し、デコはこう語った。
「昨シーズンのスカッドを見れば、我々には明確に“何かが足りなかった”。アンス・ファティにその役割を期待していたが、うまくいかず、ケガもあって苦しんだ。左ウイングやセンターフォワードでのプレーができる選手が必要だったんだ。」
「ルイス・ディアスも、ラッシュフォードもその条件に合っていた。だが交渉は別問題だ。相手はリバプールやマンチェスター・ユナイテッドといった巨大クラブ。リバプールは最初から“売らない”姿勢を崩さなかった。」
「こちらも選手を売りたくない時にオファーされても断るのと同じこと。ディアスの獲得は“実質的に不可能”だったんだ。」
「メディアは“プランA・B・C”と表現するけど、我々にとってはそうではない。必要なタイプを定義し、交渉の中で実現できるかどうかが決まる。それがマーケットというものさ。」
ルイス・ディアスがもたらす存在感
バルセロナは結局、ルイス・ディアスを逃した。
だが、その理由は単なる競合他クラブとの争いではなく、クラブの財政事情と、リバプールの交渉強硬姿勢が重なった結果だった。
ディアスは現在、バイエルン・ミュンヘンで新たなキャリアをスタートさせている。
かつて憧れたカンプ・ノウのピッチに立つ夢は叶わなかったが、
その名は今もヨーロッパのトップウインガーとして輝き続けている。
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