リバプールのマルチクラブ構想にまた一つ障害
リバプールのオーナー企業 Fenway Sports Group(FSG) は、1億1,500万ポンドでスペインのヘタフェを買収する計画から、財務面での懸念を理由に撤退したことが明らかになった。
FSGは今夏初めからヘタフェのオーナーである アンヘル・トーレス と交渉を続けており、
段階的買収を想定した取引は総額1億1,500万ポンド規模になる予定だった。
しかし木曜日、FSGがこの案件から手を引いたというニュースが届き、
プレミアリーグ王者と並行して「複数クラブ保有」を目指すFSGの計画に、また一つ大きな後退が生じた。
■ 撤退理由:財務面の不安とラ・リーガの厳しい規制
スペイン紙 Marca によれば、FSGが撤退した主な理由は以下の二つ。
① ラ・リーガが課す厳格な財務制限
スペイン1部は、移籍金・給与を含む支出が
クラブの収益と厳密に連動しており、
短期的な“攻めの投資”が極めて難しい。
FSGが採用する「初期投資で価値を高め、循環的に強化する」モデルが機能しにくいと判断された。
② ヘタフェのチーム構成がFSG流と合わない
ヘタフェの平均年齢は 27.6歳 とラ・リーガで3番目に高く、Transfermarktによると主力選手の多くが26歳以上。
FSGが重要視する
「若手を中心とした再投資モデル」 が機能しにくい。
- 最も市場価値が高い選手:
マウロ・アランバリ(30歳)/1,200万ユーロ(約1,060万ポンド)
→ 売却益を再投資しにくく、若返りに大きなコストが必要になる。
③ トーレス会長がクラブ価値を高く見積もりすぎ
報道によれば、トーレス会長はヘタフェを 1億6,000万ポンドに近い価値 と評価。
FSGの想定額(1億1,500万ポンド)とは大きく乖離しており、
交渉継続は現実的でなくなった。
■ 他のスペインクラブも候補に
The Athletic によれば、FSGはヘタフェ以外にも
- レバンテ
- エルチェ
- エスパニョール
- バジャドリード
などの買収を検討してきた。
ラ・リーガの財務規制は全クラブに適用されるものの、
チーム構造や若手比率の違いにより“投資のしやすさ”も異なる。
● 例:エスパニョール
- 今季ラ・リーガ6位
- リーグで9番目に若いチーム
- 最高市場価値選手:オマル・エル・ヒラリ(22歳/1,500万ユーロ)
ヘタフェより FSGの投資哲学に合う 可能性が高い。
■ FSGはフランス・南米でも買収を模索中
FSGはすでにスペイン以外でも
- フランス(ボルドーの買収は最終段階で決裂)
- ブラジル(クルゼイロを調査)
など、複数の市場で買収を検討している。
■ マルチクラブ戦略の中心に戻ったマイケル・エドワーズ
元リバプールSDの マイケル・エドワーズ は、現在はFSG内で“フットボール部門CEO”として復帰。
彼が指揮するのが、リバプールの競争力を未来志向で維持するための 新しいマルチクラブ戦略。
今回の撤退は計画の終わりではなく、
「無理な買収で失敗しないための慎重な判断」
と報じられている。
◆ まとめ
- FSGは1億1,500万ポンドでのヘタフェ買収計画を撤退
- 主因はラ・リーガの財務規制・チームの高齢化・買収額の乖離
- 他のスペインクラブ(レバンテ、エスパニョール等)も候補
- フランス・南米でも買収機会を探索中
- エドワーズ中心の“マルチクラブ構想”はまだ継続
FSGの慎重な姿勢は、
リバプールの未来にとってむしろプラスに働く可能性が高い。
参照記事↓
https://www.marca.com/futbol/getafe/2025/11/13/motivos-duenos-liverpool-retiran-compra-getafe.html

コメント