アルネ・スロットはシーズン序盤から“ある問題”を繰り返し指摘してきた。
それは、相手がロングボールを多用した瞬間、リバプールの強みが消えるという事実だ。
ブレントフォード戦後、スロットはこう認めている。
「相手は私たちに対して特定の戦い方をしてくる。それは良い戦略で、私たちはまだ答えを見つけられていない。」
そして、この問題は数字としてはっきり表れ始めている。
■ ロングボールは今季“25%増加”──相手がリバプール戦で見せる明確な意図
The Times の詳細調査によると、
リバプールが1試合で受けるロングボールは 59本 → 74本 へ増加。
これは 25%の上昇 にあたる。
つまり相手は
「つなぐと奪われるから、蹴って逃げる」
という戦術を徹底し始めた。
スロット初期の成功は、クロップ時代と同じく
高い位置でのプレッシング → ボール奪取 → シュート&ゴール
という“リバプールの型”にあった。
しかし、ロングボールはその型を成立させない。
実際に、
- プレッシング回数:昨季比 -20.4%
- 相手のオープンプレーパス:-11.9%
相手が繋がないため、リバプールの強みがそもそも発動できていない。
■ データが示す残酷な現実:ロングパスが増えるだけで勝率が“34ポイント”下がる
分析家ハムザ・カリーク=ルーナットの調べでは、スロット体制のリーグ戦49試合中、
● ロングパス比率20%以上(17試合) → 勝率41%
● ロングパス比率20%未満(32試合) → 勝率75%
──差は 34ポイント。
これは単なる誤差ではなく、戦術的な明確な弱点だ。
相手が“蹴るだけ”で、リバプールは勝てなくなる。
■ 空中戦は勝っている。では何が問題なのか?
多くのファンはこう思うだろう。
「ファン・ダイクとコナテなら空中戦には勝てるはず」
その通りで、実際に2人はリーグ2位の空中戦勝率を誇る。
問題は その後のセカンドボール である。
- ロングボール増加により、空中戦は 1試合あたり11回増加(+35.5%)
- しかしリバプールは その次の局面でのポジション取り・回収が遅れている
結果として、
- セカンドボールを拾われる
- 守備ラインが露出する
- 失点し、相手に試合をコントロールされる(ユナイテッド戦のように)
という最悪の流れに陥る。
■ ローブロック化が加速:リバプールの敵は「守って、蹴る」
The Times の報告では、リバプールは今季、
- 22.8%の時間をローブロック相手にプレー(リーグ2位タイ)
- ハイブロック相手でのプレーは21.5%(リーグ最少)
つまり、ほぼすべてのクラブが
リバプールには“引いて・蹴る”を採用している
ということになる。
リバプールが最も得意な
「高い位置からのプレッシング」
を封じるための最も効率的な方法が、ロングボールなのだ。
■ 繋いでくる相手には強い。それだけに“今の弱点”は深刻
アストン・ヴィラ戦やレアル・マドリード戦では、
相手が後方から繋いでくるためリバプールの強みが最大限発揮された。
しかし、プレミアの大多数は今や
「繋がない」
という選択をしている。
スロットはこの“構造的弱点”に対処しない限り、勝率は改善しない。
■ 結論:ロングボール対策こそ、現在のリバプール最大の課題
リバプールはロングボールを使われると、
- プレッシングが機能しない
- セカンドボールが拾えない
- 早期失点し、相手の狙い通りの展開になる
- 勝率は41%まで低下する
という致命的な弱点を露呈する。
解決策が必要なのは明らかだ。
スロットがこの戦術的課題にどう向き合うかが、シーズンの行方を左右する。
参照記事↓
https://www.thetimes.com/sport/football/article/liverpool-long-balls-arne-slot-everton-hw2j9p37k

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