リヴァプールが今もっとも欲しているもの──それは「確かな手応え」である。
しかし、アンフィールドで続く歯車の噛み合わなさと、勝ち切れない試合内容の中で、その感触はいまだ掴めていない。
そんな状況で迎えるプレミアリーグ・リーズ戦を前に、アルネ・スロットはAXAトレーニングセンターで取材に応じた。
サラーの扱い、ヴィルツの自信、ソボスライの適正ポジション、イサクのタッチ数問題など──
チームが抱える核心に迫る問いに対し、指揮官は率直かつ慎重に言葉を選んだ。
「分かっている。だが簡単ではない。」
スロットの言葉は、いまのリヴァプールが直面している“複雑な現実”をそのまま物語っている。
■ サラーのサンダーランド戦での途中出場と、先発復帰の可能性について
「すべての選手が先発候補だよ。うちには本当に良い選手が揃っているからね。
モーは私たちにとって特別な選手だ。常に“先発か途中出場か”という選択肢の中にいる。」
■ リーズ戦で直面する問題について
「昨日、リーズ対チェルシーの試合を見たが、まるでリヴァプールの試合を見ているようだったよ。
チェルシーはセットプレーで失点し、3失点目では大きなミスからゴールを許した。とても難しい試合だった。
リーズは非常に攻撃的に1対1を仕掛けてくるか、もしくは深いブロックを敷くか、そのどちらか。
チャンスをつくるのが本当に難しい。これは私たちに限らず、多くのチームにとって厄介だ。」
「2-0から2-2に戻したマンチェスター・シティ戦の後半を見れば分かるように、彼らはとてもアグレッシブで、GKからのロングボールも多い。
これまでの試合と同様、厳しい戦いになるだろう。」
■ ヴィルツの自信について
「ゴールを決めたときだけ自信を持つというのは違う。
彼がどれほど自信を持っているかは、ここ2試合を見れば分かるよ。
どれだけ彼がボールを欲しがっているか、どれだけ味方が彼にボールを預けているか。
それこそが彼の自信を示している。」
「ドイツ代表でのケガから戻ってきたばかりという点を踏まえれば、復帰後すぐにこれだけの時間プレーできているのはとても嬉しい。
彼は本当によくやっているし、サンダーランド戦のゴールに絡んだのも驚きではなかった。
常に仕掛け続け、創造性を失わなかった選手の一人だからね。」
■ ソボスライを中央で起用する可能性について
「長期的には間違いなく中央でプレーする選手だ。
中期的にも、そしてもしかすると明日もそうなるかもしれない。
彼は複数のポジションをこなせる数少ない選手だ。
開幕から両SBをケガで欠いていたので、彼をさまざまなポジションで使ってきたが、どこでも良い働きをしてくれた。」
「右の自由な役割でも、中盤でも、彼はポジショニングがほとんど変わらない。
ヒートマップを見れば、前半の“インサイド寄りのウイング”と後半の“中盤”がほぼ同じ位置にいることが分かるだろう。
ただ、中期的にも長期的にも、そして怪我人が戻れば短期的にも、彼は中央で起用するつもりだ。」
■ イサクを“安定して活かす方法”について
「彼だけが“チャンスが少なく苦しむ9番”というわけではない。
私が見たリーズ対シティの後半、そしてチェルシー戦でも、9番が毎ハーフ8〜10回もチャンスに絡むような試合ではなかった。
もちろん、彼をもっと危険な場面に連れていきたい。
ここ2試合は守備をコンパクトにしたことでリスクが減った一方、チャンス創出も少し減ってしまった。
改善点のひとつは“9番をもっとゲームとファイナルサードに関わらせること”だ。」
■ イサクのボールタッチ数(直近3試合平均14回)について
「理想的とは言えないが、彼がニューカッスルで平均何回触っていたか知っているかい? 22回だ。
このリーグでは、ストライカーはそう多く触るわけではないんだ。
重要なのは“多く触ること”ではなく、“正しい場面で触ること”。
ハーランドとイサクの違いもそこにある。
ハーランドは“本当に重要な場面で”ボールに触る。それが我々の改善ポイントだ。」
■ ハーヴィー・エリオット(アストン・ヴィラ)との連絡について
「いや、あまり話していない。
フェイエノールトと対戦した前後に1、2度話しただけだ。それは私の元のクラブだったからという理由だね。
もちろん彼の状況は把握している。ここ(リヴァプール)でも難しかった彼が、今どう感じているかも分かる。
ただ、彼の出場状況に関する質問はヴィラに聞くべきだ。」
スロットの発言から浮かび上がるのは、
“方向性は見えているが、まだ形にはなりきれていないリヴァプール” という姿だ。
- サラーは依然として重要な存在
- ヴィルツは自信を取り戻しつつある
- ソボスライは将来的に中盤の中心
- イサクには決定的瞬間での関与が必要
- リーズのスタイルは、今のチームにとって最も厄介な相手の一つ
そして、どれもすぐに解決できる問題ではない。
だが明らかなのは、チームが着実に“答えを探している途中”であるということだ。
スロットの言うように、
「簡単ではない。しかし前に進むしかない。」
リヴァプールは再び勝利の感覚を取り戻すために、
エランド・ロードの地で大きな一歩を踏み出せるだろうか。
スロットリバプールを守りたいなら、続けたいなら勝つしかない。
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