UEFAチャンピオンズリーグ、インテル戦を前に起きた最大の衝撃――
モハメド・サラーのメンバー外。
これまでの流れから「スロット監督の判断」と見られていたこの決定だが、
実際にはリヴァプールの最高意思決定層――FSG(フェンウェイ・スポーツ・グループ)まで関与した“クラブ主導の判断”だったことが判明した。
『The Athletic』のデイビッド・オーンスタインが、その舞台裏を詳しく報じている。
■ サラーのメンバー外は「FSG+ヒューズ+スロット」の共同決定
オーンスタインによると、今回サラーをインテル戦の遠征メンバーから外す決定は――
- スポーツディレクター:リチャード・ヒューズ
- クラブオーナー:FSG
- 監督:アーネ・スロット
この三者による共同決定だったという。
「この判断は、スロット監督に対するクラブの支持を明確に示すものだ」とも伝えられており、今回の一件が“監督個人の判断”ではなく、“クラブとしての公式な姿勢”であることがはっきりした。
一方でクラブ側は、
- 「このメンバー外は懲罰的措置ではない」
- 「サラーとその契約には、現在も完全にコミットしている」
とも強調している。
■ 発端はリーズ戦後の“衝撃発言”
すべての発端となったのは、サラーがリーズ戦後のミックスゾーンで残したこの一連の発言だ。
「クラブが僕を“スケープゴート”にしているように感じる」
「誰かが、すべての責任を僕に押し付けようとしている」
「夏に約束された話と、今の現実は違う。3試合連続でベンチだ」
「監督とは良い関係だったのに、突然なにもなくなった」
「誰かが、僕をこのクラブにいさせたくないように思える」
この発言は、
スロット監督だけでなく、クラブ上層部そのものをも公然と批判する内容だった。
■ 通常は“監督の専権事項”だが、今回は違った
通常、リヴァプールにおいて――
- 先発メンバー
- ベンチ構成
- 戦術判断
これらはすべてスロット監督に一任されている。
しかし今回は事情が違った。
サラーの発言は、監督個人の判断を超えて「クラブ組織そのもの」を揺るがす内容だったからだ。
そのため、
- スポーツディレクターのリチャード・ヒューズ
- FSGのフットボール部門CEO マイケル・エドワーズ
- さらにその上に位置する
- ジョン・W・ヘンリー
- トム・ワーナー
- マイク・ゴードン
といったFSGの最高幹部クラスまで判断に関与する異例の事態となった。
■ 19人遠征という“苦しい台所事情”でも決断は揺るがず
今回のインテル遠征は、
- サラーの不帯同
- ガクポ負傷
- キエーザ負傷
- 遠藤航の負傷
が重なり、帯同メンバーはわずか19人という非常に厳しい状況だった。
それでもクラブは、
**「この判断は必要不可欠だった」**と受け止めているという。
■ クラブのメッセージは極めて明確
今回の一連の対応が示す、リヴァプールの公式メッセージは極めてはっきりしている。
・FSGは今後もアーネ・スロット監督を全面的に支持する
・ 監督の権威を公に揺るがす行為は容認されない
・それがクラブの象徴的存在であるサラーであっても、例外ではない
「懲罰ではない」と言いつつも、
“公の場での対立は許さない”というクラブの強い統制姿勢が示された瞬間だった。
■ それでも残る“最大の未解決問題”
クラブは
- 「サラーと契約には今も全面的にコミットしている」
- 「今回の件は個別案件として扱われている」
と説明している。
しかし現実として――
- 信頼関係は公に崩れた
- チームはサラー抜きでCLに臨んでいる
- 「最後の試合か?」という問いに、誰も明確な否定をしていない
この3点が並んでいる以上、
サラーの将来が“極めて不透明な状況”に入ったことは間違いない。
■ まとめ:これは“選手問題”ではなく“クラブの権力構造の宣言”だ
今回のサラー問題は、単なるスター選手と監督の衝突ではない。
- クラブの最終意思決定者は誰か
- 誰が組織の秩序を守るのか
- どこまでが許容され、どこからが越えてはいけない線なのか
それをFSGが世界に向けてはっきりと示した象徴的な出来事だった。
サラーは依然としてリヴァプールの象徴である。
だが同時に――
その象徴でさえ、クラブの秩序の前では例外ではない。
インテル戦は、ただのCLの一試合ではない。
リヴァプールというクラブの“今と未来”を映し出す90分になる。
参照↓
https://www.nytimes.com/athletic/6872322/2025/12/08/salah-liverpool-future

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