リヴァプールは、サン・シーロという難攻不落の地で“価値ある勝利”を掴み取った。
インテルを相手に、0-0で迎えた終盤88分、ドミニク・ソボスライが沈めた渾身のPK。
それは単なる決勝点ではなく、苦境にあったチームを救う一撃となった。
試合後、アーネ・スロット監督はこの勝利を
「10日間で4試合、13人しか経験者がいない中での“これ以上ないパフォーマンス”」と称賛。
判定への不満、不運な失点が続いてきた今季、そしてサラー問題に揺れるクラブの空気――そのすべてを背負った中でのインテル撃破は、今季のリヴァプールにとって特別な意味を持つ90分だった。
■ この試合で選手たちから「何を受け取ったか」
「正直、これ以上ないものを受け取ったと思う。10日間で4試合。これはフットボールでは滅多に見ない過密日程だ。7日間で3試合ですら多いのに、10日で4試合。しかも、プレミアリーグかチャンピオンズリーグの経験を持つフィールドプレーヤーは13人しかいなかった。リーズ戦で、僕たちは延長で3-3に追いつかれるという大きな打撃を受けた。あの試合は、僕たちがもっと報われるべき内容だった。その状況から、これほど強いインテルを相手に、このスタジアムでプレーする。今日のパフォーマンスを見れば、これ以上求めるものはなかった。今日もほとんど決定機を与えなかった。彼ら最大のチャンスは前半終了間際の1回だけだったと思う。しかもそこは、僕たち選手、僕、そしてファンも含めて、別の判定になってもおかしくないレフェリングを受け入れなければならなかった場面だった。でも、これも今季ずっと続いてきたストーリーの一部だ。だからこそ、メンタリティは本当に素晴らしかった。後半は、どんどん良くなっていった。コナー・ブラッドリーやウーゴ・エキティケで、すでにゴールに迫っていた。そして最後にPKを得た。正直、もしあれがPKなら、今季10回はPKをもらっていてもおかしくなかった。あのPKは、プレミアリーグでは取られなかったかもしれない。だが同時に、前半に取り消されたゴールの方が、PKよりもよほど正当なゴールだったとも思う。
■ 「判定は最終的に帳尻が合うと思うか?」
「本来は、帳尻が合うような形であってはいけない。ただ、個人的には86分に1-0になる方が、38分に1-0になるよりは良い。しかし今季は、プレミアでもCLでも、あまりにも多くの判定が僕たちに不利に働いてきた。この週末も、ブライトン対ウェストハム戦で、ゴールにつながったハンドが認められていたのを見た。人はきっと『あれは違う』と言うだろう。でも、いつだって“何かしらの違い”はある。マンチェスター・シティ戦での僕たちのゴールもそうだった。今日もまた、選手たちは素晴らしいメンタリティを見せた。そして今回は、引き分けではなく勝利をつかむことができた。
■ この勝利がシーズンにとってどれほど大きな意味を持つか
「正直、それは未来を見通さなければ分からない。でも少なくとも今日の結果は、僕たちにとって極めて重要だった。まだアウェイのマルセイユ戦も残っているし、ホームゲームも1試合ある。だから、どうしても勝ち点が必要だった。ここがどれほど難しい場所かは、誰もが知っている。インテルはこのスタジアムで、リーグでもCLでも本当に、本当に強かった。だからこの結果は、レアル・マドリード戦と同じくらい大きなものだ。
少し皮肉だけど、今季は――
- アーセナルに勝ち
- レアル・マドリードに勝ち
- ニューカッスルにアウェイで勝ち
- 10連勝中のアストン・ヴィラにも勝った
こんな特別な勝利がいくつもある。それなのに、他の試合で多くの勝ち点を落としている。理由はいくつもあるが、先ほど話したようなことも、その一因だ。
■ 今季の不安定さの理由について
「ほとんどの試合内容は、2~3試合を除けば悪くなかった。ただ、報われない試合が多すぎた。リーズ戦も今日と同じようにチャンスは1度だけだった。だが、VARによるPKとセットプレーで3失点した。サンダーランド戦では、96分までチャンスすら与えなかったのに、ディフレクションで失点した。直近4試合を見ても、選手たちは本当に必死に戦い、素晴らしいメンタリティを示している。それでも、報われなかった試合が多かった。だが今夜は、ついに困難な状況の中で報われた。
■ 中盤の働きと、ファンが自分の名前を歌ったことについて
「中盤だけを評価するのは不公平だと思う。全選手が、ゲームプランに対して強い献身を見せた。前半は最終ライン周辺に数的優位を作ろうとしたが、相手交代後は、アカンジが中盤にドリブルで侵入してくるのに苦しんだ。だからハーフタイムに『もっとアグレッシブに1対1で行こう』と伝えた。そこで大事なのは、中盤も、前線も、全員がスプリントで戻ることだった。そして今日は、あえてイブラヒマ・コナテを称えたい。彼はこれまで何度か批判も受けてきたが、今日はファン・ダイクと共に2人の強力なFWを完璧に抑えた。1度しかチャンスを与えなかったことは、大きな賛辞に値する。ファンが僕の名前を歌ってくれたことは、もちろんとても嬉しい。でも昨日も言ったように、これは僕のことではなくチームのことだ。困難な状況でも駆けつけてくれたアウェイファン、そして戦い抜いた選手たち。「僕たちは共に戦っている」ことを、今日あらためて示した。
■ クラレンス・セードルフとのインタビューでのサラー問題の発言について
「いい質問だ。彼は『それは自分の意見だ』と言い、僕は『それは君の意見だね』と答えただけだ。つまり、“誰が先に歩み寄るべきか”について、僕自身は何も言っていない。すべて彼の意見だ。明日の見出しがどうなるか分からないが、この場ではっきり訂正しておきたい。
■ 現在のサラー問題に対する自分の立場
「今夜は、ここにいる選手たちのことだけに集中すべき夜だ。リヴァプールの歴史には、こうした夜が何度もあった。でも今季の状況を考えれば、このスタジアムで、これほど強い相手にアウェイ勝利を収めたなら、中盤やコナテ、そして“ここにいる選手たち”が称えられるべきだ。金曜日になれば、また別の質問を受けるだろう。だが今夜は、ここにいる選手たちのための夜だ。
■ コナテの状態管理について
「彼にとっても、僕にとっても一番つらいのは、大部分で素晴らしいプレーをしているのに、失点に関与してしまうことだった。PSV戦も、その瞬間までは本当に良いプレーをしていた。それが何度も続いた。そして不運なことに、ミスに関与すれば、そのボールが必ずゴールになってしまう状況が続いてきた。今夜も、最初のチャンスを決めきれなかった。だが、クリーンシートを守ったからこそ、最後のチャンスを生かして勝つことができた。
■ ソボスライのPKについて
「彼には本当に多くのことを求めてきた。多くの異なるポジションをこなしてもらった。彼の特別なところは、1試合でどれほど走れるかという点だ。彼はこの10日間で4試合すべてに出場した。それは本当に特別なことだ。そして今日は、86分、0-0の状況でのリヴァプール初PK。これは本当に簡単なことではない。だが彼には素晴らしいシュートがあり、代表や前所属クラブで多くのPKを決めてきた。そして今日も、彼はやってのけた。
■ CLとPLのフォームの違いについて
「PSV戦を除けば、CLでは概ね良い戦いができている。プレミアでは、僕たちだけでなく多くのチームが勝つのに苦しんでいる。リーズ戦に勝っていれば、今の順位はまったく違ったものになっていただろう。今季は本当に小さな差がすべてを左右している。心理的な問題だとは思っていない。これだけの逆境の中で、選手たちは常に素晴らしいメンタリティと戦う姿勢を見せてきた。ただ、不運が多すぎた。それが今のリーグ順位につながっている。
■ 試合におけるエネルギーについて
「戦術ももちろん大事だ。だが、最後にものを言うのはエネルギーと闘争心だ。今日は両チームとも、それを見せた。だからこそ、チャンスの少ない緊迫した試合になった。
インテルは、
- 経験豊富
- 規律があり
- ハイプレスも
- 低いブロックからのカウンターもできる
本当に多くの武器を持っている。
僕たちは、ボールを持った時は落ち着いて試合をコントロールしようとした。そして最終的に違いを生んだのは、両チームの素晴らしい守備の中で、わずかな“差”だった。取り消されたゴールやPK――その小さな差が勝敗を分けた。今季、僕たちは何度もその“悪い側”に立たされてきた。だが今夜は、ついに“良い側”に立てた。
スロット監督の言葉から浮かび上がったのは、
結果以上に「内容」と「メンタリティ」を誇る一夜だった。
- 過密日程と少人数の中で掴んだアウェイ勝利
- 判定や不運を乗り越えた選手たちの精神力
- コナテ、ファン・ダイクを中心とした鉄壁の守備
- ソボスライの重圧を跳ね返した決勝PK
今季のリヴァプールは、アーセナル、レアル・マドリード、ニューカッスル、アストン・ヴィラと“特別な勝利”をいくつも手にしてきた一方で、不思議なほど勝ち点を落とし続けてもきた。
だが、スロットが語ったように――
「今夜は、ついに報われた夜」だった。
このインテル戦の勝利が、リヴァプールに再び“勢い”をもたらす転機となるのか。
その答えは、これからのリーグ戦とチャンピオンズリーグで明らかになる。
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