勝利は目前にあった。
しかし、プレミアリーグでは「最後の一瞬」まで気を抜くことは許されない。
リヴァプールはクレイヴン・コテージでフラムと対戦し、アディショナルタイムに2ゴールが生まれる激闘の末、2-2の引き分けに終わった。
逆転に成功しながらも、試合終了直前に同点弾を許すという、精神的に重い結果だった。
試合後、アルネ・スロット監督は、この一戦を冷静かつ率直に振り返っている。
「勝ったと思う人もいるだろう」と前置きしながら語られた言葉の数々は、単なる結果論ではなく、今のリヴァプールが直面している現実、そして変わらぬフットボール哲学を浮き彫りにするものだった。
試合結果とフラムの終盤ゴールについて
「もしリヴァプールの一員ではなく、毎試合を追っていない人なら、今日は勝ったと思うだろう。でも残念ながら、私はここ数カ月ずっとこの状況を経験している。相手が最初に得たチャンス、しかも前半での唯一のチャンスが、そのままゴールにつながってしまう。これは我々によく見られることだ。もう一つよくあるのは、延長時間に“予想もしない形”で相手がゴールを決めることだ。だから、今回もサプライズだった」
終盤に2-1とした粘り強さについて
「多くの攻撃オプションを欠いた状態でフラムのような良いチームとここで戦う中で、我々は最初から素晴らしいレジリエンスを見せたと思う。彼らはフットボールに対して明確なアイデアを持ったチームだが、我々はほとんどチャンスを与えなかった。後半に一度、自分たちのミスで少し崩れた場面があり、彼らがチップシュートでクロスバーを叩いたシーンはあったが、それ以外は試合をコントロールしていたと思う。もちろん、ボール保持からもっとチャンスを作りたいという思いはある。これだけは言える。私のフットボール哲学は、監督としてこれまでのシーズンと比べて何も変わっていない。ただ、使える選手でやらなければならない。今日は11人のとても良い選手がピッチに立っていたが、全員が本来のポジションだったわけではない。前半は試合をコントロールしていたし、フラムが得点する直前には、コーディ・ガクポにも全く同じようなチャンスがあり、あれは逆側のポストに当たった。後半は、取り消されたゴールが2つ、決まったゴールが2つ、そしてヘディングがクロスバーに当たった場面もあった。良い点はたくさんあるが、結果はまたしても“我々が値するものではない”可能性が高い」
リードのゴールでラインを下げすぎたかについて
「それは事実だ。ただ、今季はスローインやセットプレーから失点することが多い。我々には決まったセットアップがあり、ロングスローが来た時もボックス内はしっかり守れていたと思う。理想を言えば、相手がロングにしないと分かった瞬間に、もっと早く、もっと速く前に出るべきだった。ただ、あのシュートは本当に素晴らしい。あの位置から入る確率がどれくらいあるか?私は高くないと思う。xG的にも大きなチャンスではないが、それでも失点してしまった。勝つためにフェデリコ・キエーザを投入する攻撃的な交代を行った。今季は、守備的な選手を入れずにそのままいって、リーズ戦でも失点している。そうなると『追加のDFを入れるべきだったのか?』と自問することになる。スローインの場面では、空中戦に強いジョー・ゴメスもいたが、相手はショートで来て、そこで数的不利になった。それでも、頻繁に見るようなゴールではない。やはり、決めた選手を称えるべきだ」
ハーフタイムでの修正について
「あなたの意見には完全には同意しないが、確かにチャンスを量産していたわけではない。前半は両チームともにほとんどチャンスを与えない試合だった。プレミアリーグでは、後半の方がオープンになり、チャンスが増えることが多い。我々も例外ではない。前半にも良い場面はあった。カーティス・ジョーンズのクロスに合わせかけた場面、コーディ・ガクポのディフレクションしたシュート、そしてガクポのGKとの1対1。もちろん、もっとチャンスを作りたいが、アウェイで5-4-1のフラムに対し、我々が中盤を多く並べてFW1枚で戦っている状況で、チャンスを量産できるかというと簡単ではない。総合的には、試合に勝つだけのチャンスは作ったし、相手を1回から1.5回程度のチャンスに抑えた。それでも結果は2-2。フットボールとはそういうものだ」
チャンス創出全体について
「今の5倍チャンスを作り、1つもチャンスを与えない試合ができれば理想だ。ただ、以前もっとオープンに戦った時期を振り返っても、チャンスが劇的に増えたわけではなく、むしろ失点は増えた。今はチャンス自体は多く与えていないが、ゴール数という意味ではあまり変わっていないかもしれない。私は監督として変わっていない。守備的に成立するなら8人のアタッカーでプレーしたいくらいだ。だが、その8人が守備をしなければ、試合に勝つのは難しい。そもそも、今は8人のアタッカーがいないから、それは不可能だ」
エキティケとヴィルツのフィットネスについて
「ウーゴはトレーニング中に違和感を感じたため遠征には帯同し、MRI検査を受けた。結果は移動中の飛行機内で確認した。我々はDOMS(筋肉痛)だけだと願っていた。なぜなら、アレックス(イサク)が離脱しているため、ウーゴは60分や70分ではなく、80分や90分を毎試合プレーしなければならなかったからだ。プレミアリーグで初めて、冬休みなしで初めて、チャンピオンズリーグレベルで初めて、この出場時間を経験している。だから疲労やDOMSが出るのは驚くことではない。DOMSだけなら途中出場も考えていたが、実際にはもう少し深刻だったため、リスクは取れなかった。フロリアンも先週同じようにMRIを受けたが、彼はDOMSだけだった。彼もまた、初めてこのスケジュールを経験している。選手が少ない中で、使える選手にはできるだけ多くプレーしてほしいが、現実的でなければならない。それが、今日私がやろうとしたことだ」
フラム戦の2-2という結果は、スコア以上に多くの感情と問いを残した。
だがスロット監督の言葉からは、迷いや動揺よりも一貫性が強く感じられる。
• 内容的には試合をコントロールしていたこと
• 相手にほとんどチャンスを与えなかったこと
• それでも“予想外の形”で失点してしまう現実
これらを受け止めながらも、スロットは自身の哲学を曲げることはなかった。
「私は監督として何も変わっていない」
その言葉通り、リヴァプールは理想と現実の間でバランスを取りながら前に進み続けている。
結果は引き分け。
しかし、この試合が示したのは停滞ではなく、我慢と積み重ねの過程だ。
次に求められるのは、同じ内容を“勝利”へと結びつけること。
スロットのリヴァプールは、その段階に差しかかっている。
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