――遠藤航の復帰が示す、スロットの“現実”と“選択肢”
アルネ・スロットは、負傷から復帰した遠藤航の存在を歓迎している。
それは単なる戦力の回復という意味だけではない。ドミニク・ソボスライが、再び“本来の持ち場ではない”右サイドバックに回らざるを得なかった現実を前に、指揮官が直面している苦しい台所事情を象徴するものでもあった。
遠藤は、スロットが試合前に「まだトレーニングに復帰していない」と語っていたにもかかわらず、バーンズリー戦のメンバーにサプライズで名を連ねた。
彼は足首の負傷で7試合連続欠場、1か月以上ピッチから離れていたため、完全にコンディションを取り戻すには時間が必要だ。それでも、コナー・ブラッドリーが今季絶望となった今、スロットにとって遠藤の復帰は“歓迎すべき材料”だった。
FAカップ勝利後、スロットはソボスライが再び右SBに入ったことに触れながら、遠藤の名を自ら挙げ、こう語っている。
「ワタが戻ってきてくれたのは良いことだ。というのも、またしてもドミニク・ソボスライがフルバックの位置でプレーする場面があったし、今季これが最後になるとは限らないからだ。私は彼を中盤で起用するのが好みだし、本人もミッドフィールドでプレーしたいと思っているはずだ。ただ、他に選択肢がない時には、創造的にならなければならない」
スロットの言葉には、明確な本音がにじんでいる。
ソボスライを最終ラインに回したいわけではない。だが、そうせざるを得ない現実が、今のリヴァプールにはある。
遠藤の立ち位置と“広がる必要がある輪”
これまでの起用を見れば、右サイドの代役としての序列は、ジェレミー・フリンポン、ジョー・ゴメス、ソボスライ、カーティス・ジョーンズの後ろに遠藤がいる形だった。
それでも遠藤は、最終ライン全体をカバーできる“汎用性”を持つ存在でもある。
日本代表の遠藤は、今季ここまでの出場時間がわずか223分(先発2試合)。
これはトレイ・ナイオニ(184分)を除けば、ファーストチームの常連組の中で最も少ない数字だ。
スロットは、リーズ戦で負傷するまで直近22試合中21試合で遠藤をベンチに入れていたが、実際の起用には慎重だった。しかし、1月の補強が見込めない状況であれば、その“信頼の輪”を広げざるを得なくなる。
実際、遠藤はバーンズリー戦前に1度しかトレーニングを行っていなかった。それでも、スロットが自発的に彼の名前を出したという事実は、少なくとも指揮官の思考の中に遠藤が組み込まれ始めていることを示している。
「私はソボスライを右SBで使いたくない」
スロットは、ブラッドリーの長期離脱について、こう語っている。
「[コナー・ブラッドリー]本人にとっても甚大な打撃だが、それは同時に我々にとっても大きな打撃だ。私がドミニク・ソボスライを右サイドバックで起用したいと思っている、なんて考えないでほしい」
現在、リヴァプールでコンディションを保っているシニアのディフェンダーは6人しかいない。
一方で、カルヴィン・ラムジーも起用可能で、後半戦に向けてローン移籍せず、アンフィールドに残る見込みだ。
しかし、クラブが今月の移籍市場で積極的に動く予定はないと報じられている。
つまり――この先の戦いで、リヴァプールは“既存戦力をどう組み替えるか”という創意工夫に、より大きく依存していくことになる。
遠藤航の復帰は、単なる戦力回復ではない。
それは、スロットが「創造的にならなければならない」と認めた、現実と向き合うための“選択肢”のひとつなのだ。
参照↓

コメント