― 「崖っぷちから世界の頂点へ。そして、旅はまだ終わらない」 ―
リバプールFCのCEO、ビリー・ホーガン氏がフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)のリバプール買収から15周年を迎えるにあたり、その歩みと未来への展望を語った。
破綻寸前のクラブを引き継いだ2010年から15年――。
ホーガン氏は「奇跡の軌跡」を静かに、そして誇らしげに振り返った。
破綻寸前だった2010年
今でこそ世界最高峰のクラブとして知られるリバプールだが、15年前は崖っぷちに立たされていた。
当時のオーナー、トム・ヒックスとジョージ・ジレットの経営破綻により、クラブは経営管理(Administration)寸前。
その危機を救ったのが、当時「ニューイングランド・スポーツ・ベンチャーズ」と呼ばれていたFSGだった。
2010年10月15日、高等法院の判決により3億ポンドで買収が成立し、リバプールの再生が始まった。
「当時、私は買収チームの一員としてリバプールに関わった。2010年8月に参入し、10月に取引が完了した。あの頃クラブは本当にギリギリの状態だった。今こうして、プレミアリーグ王者としてこの場所に立てているのは信じられない気持ちだ。」
FSGの哲学:「勝利のために存在する」
2020年にCEOに就任したホーガン氏は、FSGが貫いてきた根幹の哲学をこう語る。
「FSGにとって最優先は“成功と勝利”だ。それが私たちが毎日取り組む理由だ。買収当初から、まずはピッチ上の再建に注力した。マイケル・エドワーズ、イアン・グラハム、そして監督陣の決断がクラブの方向性を決定づけた。」
その結果、クラブはプレミアリーグ優勝、チャンピオンズリーグ制覇を果たし、
「かつての名門」から「世界の強豪」へと完全に復活を遂げた。
アンフィールドを守り、未来を築く
FSGが下した最初の大きな決断の一つは、“アンフィールドに残る”というものだった。
「当初は新スタジアム建設の案もあった。だが、アンフィールドの魂を残すことを選んだ。メインスタンドの拡張に始まり、アンフィールド・ロードの再開発で収容人数は6万1,000人を超えた。この場所に息づく歴史と文化こそ、リバプールの心臓なんだ。」
さらに、メルウッドからAXAトレーニングセンターへの移転も決断。
男子トップチームとアカデミーを同じ敷地に統合するという、クラブの未来を見据えた一手だった。
「AXAトレーニングセンターは極めて野心的なプロジェクトだった。そして今、メルウッドは女子チームのホームとして再び“リバプール・ファミリー”に戻ってきた。私たちは男女を問わず、クラブ全体の発展を重視している。」
「持続可能性」と「商業的成功」
ピッチ上の成功を支えるのは、盤石な経営基盤だ。
ホーガン氏は、FSGが掲げる「持続可能なクラブ運営」の理念を強調する。
「FSGの経営方針は明確だ。勝利と同時に、財務的にも自立したクラブを築くこと。そのために商業収益の拡大に力を入れてきた。スタンダードチャータードやカールスバーグといった長期パートナーが支えてくれたおかげで、安定した運営が実現している。」
“The Red Way”― 持続可能な未来へ
近年クラブが力を入れるのが、サステナビリティを軸にし「The Red Way」プログラム
「我々の取り組みは、単なる環境対策ではない。クラブの人々、地域社会、そして地球。そのすべてを大切にすることが、リバプールの哲学だ。それが我々を他のクラブと差別化している。」
「まだ道の途中。勝利への渇望は尽きない」
「この15年を振り返り、まず感謝を伝えたい。ジョン・ヘンリー、トム・ワーナー、マイク・ゴードン、そしてFSGのすべての仲間に。彼らのビジョンとリーダーシップが、今日のリバプールを作った。男子・女子ともにトロフィーを掲げてきたが、我々はまだ満足していない。目指すのは、さらなる勝利と、次の15年の成功だ。」
「このクラブを率いる立場にあることは光栄だ。そして、毎日クラブを前進させようと奮闘する全スタッフに心から感謝している。リバプールの旅は、まだ終わらない。」
2010年、崩壊寸前のリバプールを救ったFSG。
そこから15年で、世界の頂点に立つクラブへと生まれ変わった。
アンフィールドの灯は、再び燃え盛っている。
そしてビリー・ホーガンは言う――
「このクラブの物語は、まだ第一章が終わったばかりだ。」
参照記事↓
https://www.liverpoolecho.co.uk/sport/football/football-news/billy-hogan-liverpool-ceo-fsg-32680053
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