ブレントフォードで安定感を見せるセップ・ファン・デン・ベルフが、10代でリバプールに加入した当時の「暗い日々」について英『ガーディアン』で赤裸々に語った。
さらに、今夏にはアルネ・スロットから残留の打診を受けていたことも明かしている。
「泣いて家に帰る日もあった」― 異国での孤独と苦悩
23歳のオランダ人センターバックは、2019年にPECズヴォレからリバプールへ移籍。
将来を嘱望されながらもトップチーム定着には至らず、公式戦出場はわずか4試合にとどまった。
当時を振り返り、ファン・デン・ベルフはこう語っている。
「本当に暗い日々だった。17歳の少年が異国にやって来ても、当然ながら優先順位は低い。家で泣くこともあったし、誰とも話したくない時期もあった。これを“うつ”と呼ぶのは少し大げさかもしれないけど、正直言って心は元気じゃなかった。」
「自信がなくなって、自分をずっと疑っていた。練習に行きたくないと思ったこともあったけど、それは本来の自分じゃない。だからこそ、あの時期の自分は本当に追い込まれていたと思う。」
「今思えば、もし誰かがもっと気にかけてくれていたら助けになったはずだ。海外や大クラブに行く若い選手たちには、親もクラブも“心のケア”を大切にしてほしい。僕の母は毎日FaceTimeをくれたけど、それでも気づけなかった部分はあったと思う。」
「スロットは残ってほしいと言ってくれた」― 新監督との出会い
リバプールでは十分なチャンスを得られなかったファン・デン・ベルフだが、
新シーズン前にはアルネ・スロット監督から前向きな言葉をかけられていたという。
「それまでの数年間とはまったく違っていた。彼は僕に“とても良いプレーをしている。残ってほしい”と言ってくれた。リバプールの監督にそう言われるのは特別なことだよ。」
「正直、少し考えた。『残るべきか、新しい契約を結ぶべきか』ってね。でも最終的にはプレー機会を求めてブレントフォードに移る決断をした。スロットとは話しやすくて誠実な人だったし、同じオランダ人としてとても理解し合えた。」
「暗闇をくぐり抜けて、今の自分がある」
ブレントフォードでのプレーぶりからも分かるように、
ファン・デン・ベルフは今、かつての苦しみを糧に成長を遂げている。
「あの経験があったから、今の自分がいる。シャルケでのケガも含めて、すべてが人としての強さを与えてくれた。あの“暗闇”を通る時は、まるで自分の世界が崩れるような気がした。でも、なんとか生き延びたんだ。」
若手への教訓、そしてリバプールへの皮肉な巡り合わせ
このインタビューは、若手選手たちが大クラブに移籍する際に必要な「メンタルサポート」の重要性を改めて浮き彫りにした。
現在、21歳のミロシュ・ケルケスも同様に適応に苦しんでおり、スロットは改めて「若手の心のケア」という課題に直面している。
皮肉にも今季のリバプールは、ジョヴァンニ・レオーニがシーズン絶望、イブラヒマ・コナテとジョー・ゴメスもケガがちという状況にあり、
ファン・デン・ベルフのような安定感あるCBがまさに求められている。
10代で異国へ渡り、トップクラブの重圧の中で自分を見失いかけた少年。
その苦しみを乗り越えて今、プレミアリーグの舞台で堂々と戦う彼の姿は、リバプールを去った者たちの成長物語としても胸を打つ。
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