アンフィールドに漂う違和感は、もはや隠しきれないものになっている。
戦術的な噛み合わせの悪さ、勝ち切れない試合、そしてリーダーたちの迷い。
その中心でキャプテンのファン・ダイクは、2試合連続で先発を外れたモハメド・サラーの“失望”を率直に認めた。
「失望していた。それが当然だ。」
サラーへの言葉はシンプルだが、そこには今のリヴァプールが抱える深刻な問題が凝縮されている。
選手たちの感情、戦術の揺らぎ、そして“勝てないチーム”が生む不安定さ。
しかし同時にファン・ダイクは、サラーの存在価値とチームへの信頼を強調し、
迷いながらも前へ進もうとするキャプテンとしての姿勢を示していた。
ファン・ダイクは、サラーが先発を外れたことに「落ち込んでいた」と認めつつ、それは彼ほどの選手なら当然の反応だと語った。
「モハメドはどうだったか? あるべき姿だよ――失望していた。」 とオランダ代表キャプテンは言う。
「でも彼は必要な存在だし、これまで通り重要であり続ける。彼は今でも素晴らしい選手だし、彼がこのクラブで成功してきた理由を忘れてはいけない。それを尊重する必要がある。」
さらにこう続けた。
「彼はリーダーの一人としてそばにいてほしい存在だ。心配はしていないよ。
2試合連続で出場できなければ落ち込むのは当然だし、もし落ち込まないならそれはそれで問題だろう。
でも、もう前を向くしかない。」
「誰も“絶対に外されない選手”なんていない。無限の信用があるわけではなく、全員が結果を出す必要がある。モーは常にそれをやってきたけど、この2試合は監督がその決断をした。それもクラブのためだ。
モーが今後も我々が目指すものの大きな一部になると確信している。彼は驚くべき選手で、その実力をずっと示してきた。
でもフロ(ヴィルツ)のときにも言ったように、僕たちは皆、安定したプレーを見つけようとしている。監督はチーム全員がベストの状態であることを求めているし、僕たちもモーを必要としている。だからこそ全員でその状態を探しているんだ。」
◆ 試合内容について:
「上手く噛み合わないのは、残念ながら“普通のこと”でもある。時間がかかるんだ。」 とファン・ダイクは語る。
「プレスのタイミングや、ファイナルサードに入ったときの動きなど、できるだけ早く形にしたいと思っている。もちろんピッチでそれを望んでいるし、練習でも取り組んでいる。
でも、いつも上手くいくわけじゃない。」
「ポジティブなのは、あまりチャンスを与えなかったこと。守備は安定していて、そこは土台になる。
ただ、どれだけの距離からのシュートなのか分からないような形で、大きくディフレクションして失点したのは不運だった。」
「ホームでは勝ちたいし、結果だけ見れば満足はできない。ただ負けたわけではないし、相手も前回とは違う。前の試合とは比較できない。」
さらに試合ごとの難しさについても触れた。
「“前の試合から積み上げたい”と思うけれど、相手が違えば状況も変わる。
ウェストハム戦ではライン間にスペースが多く、システムも違った。
一方でサンダーランドは序盤はハイプレス、その後はローブロックで、そこを崩すのは難しい。」
「もちろんウェストハム戦の内容の上に積み上げたい気持ちはある。でも現状としては勝ち点1。それが今の我々の置かれた状況だ。
それを受け止めて、回復して、週末のタフな試合に備えなければならない。
勝ち点1に満足はしていないけど、もっと悪い結果になる可能性もあった。」
ファン・ダイクのコメントは、
いまのリヴァプールが抱えるすべてを象徴している。
- 主力の不満は“正常反応”であり、チームが勝てていないことの裏返し
- 「誰も特権はない」という言葉に示された競争意識
- 戦術の再構築に時間を要しているチームの現実
- 一方で、守備の安定や個々のクオリティにはまだ希望が残る
サラー、ヴィルツ、そしてファン・ダイク。
チームのリーダーたちが、不満と希望の狭間で揺れながらも前進しようとしている。
“満足できない勝ち点1”が続く中で、
リヴァプールが本当の意味で再び噛み合う瞬間はいつ訪れるのか。
キャプテンの言葉が示したのは、
迷いと再生の狭間に立つ今のチームの姿そのものだった。
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