サラーの笑顔が示した“沈静化”――スロットが引いた問題の終止符
モハメド・サラーは、もうこれ以上語るつもりはなかった。
先週の発言で大きな波紋を呼んだエースは、ブライトン戦後、再び言葉を求める記者たちに対し、笑顔とともに短い一言だけを残してアンフィールドのトンネルを後にした。
「2週連続?ないね。」
この何気ない、しかし象徴的な一言に、場は笑いに包まれた。
それは、騒動が新たな火種を生むことなく終息へ向かっていることを、何よりも雄弁に物語っていた。
発端はリーズ戦後の“爆弾発言”
事の始まりは、リーズ戦だった。
未出場に終わったサラーは試合後、取材に応じ、「クラブにバスの下に投げ込まれたように感じた」と語り、状況は一気に緊張感を帯びる。
この発言を受け、サラーはインテル戦の遠征メンバーから外れる決断が下された。
一時は関係悪化も囁かれたが、アーネ・スロット監督との話し合いを経て、ブライトン戦でチームに復帰。
ジョー・ゴメスの負傷という不測の事態もあり、サラーは予定より早くピッチに立ち、64分間プレーした。
そして彼は、結果で応えた。
途中出場ながら攻撃に違いをもたらし、2点目をアシスト。
“ピッチ上で語る”という、サラーらしい姿勢を示してみせた。
記者に残した一言と、学びの痕跡
試合後、記者たちは再びサラーの言葉を引き出そうとした。
しかし今回は違った。
「モー!」という呼びかけに、サラーは大きな笑顔を浮かべながら歩き続け、こう返した。
「2週連続?ないね。」
それ以上は何も語らず、そのまま去っていった。
この反応には、先週の経験から学んだ冷静さと、状況を理解した余裕が感じられた。
そしてこの“和やかな締め”は、スロット監督が会見で語った内容とも、完全に呼応していた。
スロット監督「解決すべき問題は何もない」
ブライトン戦後の記者会見で、スロット監督はサラーを巡る状況に、明確な線を引いた。
「解決すべき問題は何もない。
私にとって、彼は今や他の選手と同じだ」
リーズ戦後の出来事についても、指揮官は深入りを避ける。
「選手が満足しているか、不満を持っているかについて話すことはある。
だが、リーズ戦後に起きたことについて、私が話す必要はもうない」
感情ではなく、行動とパフォーマンスで判断する――。
スロットの姿勢は一貫していた。
AFCON後も「彼はリヴァプールの選手だ」
試合後、サラーがアンフィールドのファンに拍手を送った姿を見て、「これが最後の試合では?」と感じたファンも少なくなかった。
しかし、AFCON後の復帰を望むかという質問に対し、スロット監督は即答する。
「もちろんだ。
彼はリヴァプールの選手だし、必要な時には使いたい」
淡々とした言葉の中に、特別扱いも、距離感もない。
そこにあるのは、チームの一員としてのサラーだ。
騒動の先に残ったもの
一連の出来事を経て明らかになったのは、不和ではなく“整理”だった。
サラーは結果で応え、指揮官は明確な基準を示した。
AFCONによる離脱は避けられないが、スロットの言葉からは、復帰後も重要な戦力として構想に含まれていることがはっきりと伝わってくる。
騒動は終わり、残ったのはピッチ上での競争だけ。
リヴァプールは今、静かに次のフェーズへと進み始めている。
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