ブレントフォードで蘇った主将が示した敬意と記憶
ジョーダン・ヘンダーソンが、ブレントフォードでのプレミアリーグ初ゴールを挙げ、その一撃を亡きディオゴ・ジョタに捧げた。
試合はブレントフォードとリーズが1-1で引き分け。結果以上に、ヘンダーソンのゴールとその後の振る舞いが、深い余韻を残す一戦となった。
1,475日ぶりのプレミアゴール
今夏、ヘンダーソンはアヤックスからフリートランスファーでブレントフォードに加入し、プレミアリーグへ復帰。
35歳となった今も、キース・アンドリュース監督の下で重要な役割を担っている。
今季ここまでプレミアリーグ全16試合に出場し、リーズ戦では14試合目の先発。
その中で生まれたのが、価値ある先制点だった。
左サイドを突破したリコ・ヘンリーの動きに反応し、ヘンダーソンは迷わずペナルティエリアへ侵入。
ディフレクトしたクロスに合わせ、冷静にゴールへ流し込んだ。
これは、リヴァプール時代にエヴァートンを4-1で破ったマージーサイド・ダービー以来となる、プレミアリーグでのゴール。
実に1,475日ぶりの得点だった。
「彼を決して忘れない」──ジョタへの献辞
ゴール直後、ヘンダーソンはGtechコミュニティ・スタジアムのピッチ上で、
ディオゴ・ジョタの象徴的な“プレイステーション・セレブレーション”を披露。
その瞬間、ゴールは単なる1点ではなく、追悼と敬意を示す行為となった。
試合後、Sky Sportsのインタビューでヘンダーソンは、静かな口調で胸中を語っている。
「彼の誕生日が最近だったし、僕たちは彼を決して忘れない。ずっと、永遠に覚えていると思う」
「リヴァプールの仲間たちが今どんな気持ちでいるのか、僕には想像することしかできないけど、彼は本当に良い友人だった」
「僕はあまりゴールを決める選手じゃない。だから、もし決めることがあったら、彼に捧げようと、ずっと思っていたんだ」
言葉の一つひとつに、ジョタとの深い絆と喪失の重さがにじんでいた。
試合結果とブレントフォードの現状
試合は終盤、ドミニク・カルヴァート=ルーウィンが同点ゴールを決め、1-1の引き分けで終了。
勝点1を分け合った両チームは、依然としてリーグ下位半分に位置している。
この日、ブレントフォードにはジョタとリヴァプールで共に戦った選手が3人先発していた。
ゴールキーパーのカオイムヒーン・ケレハー、センターバックのセップ・ファン・デン・ベルフ、そしてヘンダーソンである。
また、ファビオ・カルヴァーリョもブレントフォードの一員だが、先月に前十字靭帯(ACL)を負傷し、今季残り試合は欠場することが決まっている。
復活と代表復帰
クラブレベルでの復活は、代表にもつながっている。
ヘンダーソンは2025年に入ってからすべてのイングランド代表メンバーに選出されており、
ガレス・サウスゲイト、リー・カーズリー体制で一度は代表の座を失ったものの、
現在はトーマス・トゥヘル監督の下で主力の一人として信頼を取り戻している。
1,475日ぶりのプレミアゴール。
その価値は、記録や数字以上のものだった。
ジョーダン・ヘンダーソンは、ゴールとセレブレーション、そして言葉を通じて、
ディオゴ・ジョタが今も心の中で生き続けていることを示した。
去っても、忘れられることはない。
この夜の一撃は、サッカーが持つ「記憶をつなぐ力」を、静かに、しかし確かに証明していた。
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