リヴァプールの今季は、誰もが想像していたものとは大きく異なる展開となっている。
プレミアリーグ王者として臨んだシーズンだが、17試合を終えた時点ですでに6敗。連覇への道のりは厳しく、パフォーマンスへの批判も日増しに強まっている。
そんな中、アルネ・スロット監督が明かしたのは、クラブ上層部は今季が困難なものになる可能性を織り込んでいたという事実だった。
「簡単にいくとは思っていなかった」スロットの本音
土曜日のトッテナム戦(2-1勝利)後の記者会見で、スロットは次のように語っている。
「最初の5、6試合に勝ったことで、すべてが簡単に進むと思われたのかもしれない」
「しかしクラブとしては、オーナー、リチャード、マイケル、そして他の全員が、変化には違った結果が伴う可能性があると理解していた。そしてそれは実際に起きている」
ここで名前が挙がったのは、マイケル・エドワーズやリチャード・ヒューズといった、クラブの中枢を担う人物たちだ。
つまり、今季の苦戦は「想定外」ではなく、ある程度覚悟された上で迎えたシーズンだったということになる。
大型補強と結果のギャップ
リヴァプールは今夏、クラブ史上でも例を見ない規模の投資を行った。
フロリアン・ヴィルツ、アレクサンダー・イサクという2人のスターを記録的な移籍金で獲得し、外から見れば「即結果を求める体制」に映ったのも無理はない。
しかし現実は厳しい。
両者ともに本領発揮とは言えず、チーム全体としても完成度は低いままだ。
この点について、スロットは「結果だけ」を見て一喜一憂する姿勢を戒める。
「言われているほど悪くはない」
スロットは、外部からの評価に対しても冷静な視点を示した。
「シーズン序盤、トップ4にいたからといって、私が完全に満足していたわけではない」
「良いスタートを切ったあと、結果が出なかった時期には我々も失望した」
「ただ、今はトップ4と勝ち点で並んでいる位置にいるかもしれない」
さらにチャンピオンズリーグについても言及している。
「非常に難しい組み合わせの中で、我々はかなり良い戦いをしている」
「ほとんど勝ち点を取れていないチームもあるが、我々はそうした相手と対戦していない」
「だから、言われているほど悪かったわけではない。ただし、まだ全然完璧ではない」
スロットの主張は一貫している。
過剰な悲観論も、楽観論も必要ないという立場だ。
評価が割れるのは当然
とはいえ、この発言に納得できないファンがいるのも事実だ。
多額の資金を投じながら、パフォーマンスが大きく低下している現状を「移行期」で片付けるのは甘い、という意見も十分に理解できる。
実際、今季の新戦力で明確に成功していると言えるのは、今のところユーゴ・エキティケのみ。
戦術面でも、スロットの采配には疑問符が付く試合が少なくない。
見方を変えれば「遅れてきた移行期」
一方で、別の見方も存在する。
リヴァプールの移行期は、本来であれば昨季に訪れるはずだったという考え方だ。
昨季のタイトル獲得は、多くの予想を裏切るものだった。
その成功が、世代交代の課題を一時的に覆い隠していた可能性は否定できない。
アリソン、ファン・ダイク、サラーといった象徴的存在がキャリア終盤に差しかかる中、
新戦力がチームの中核を担うには、やはり時間が必要だ。
理解はできるが、改善は必須
スロットの発言は、状況説明としては筋が通っている。
クラブが「簡単なシーズンにならない」ことを想定していたのも事実なのだろう。
しかし同時に、今季のリヴァプールの出来が十分でないことも否定できない。
移行期であろうと、王者としての基準は変わらない。
この先、スロット体制が
・戦術的な完成度を高められるのか
・新戦力を本格的に機能させられるのか
・世代交代を前向きな形で進められるのか
後半戦は、その答えが問われる時間となる。
理解はできる。
だが、結果と内容の両方で示さなければならない段階に、リヴァプールはすでに来ている。
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