ディオゴ・ジョタを失って以降、アンフィールドでは毎試合20分に、背番号20のためのチャントが歌われてきた。
しかしその一方で、「選手たちにとって負担になっていないのか」「毎試合思い出させることは適切なのか」という議論も起きていた。
その問いに対し、リヴァプールのキャプテンであるファン・ダイクが、はっきりとした答えを示している。
「それは敬意であり、問題ではない」
ファン・ダイクは The Times の取材に対し、ジョタのチャントがチームに悪影響を与えていないことを明言した。
「そのことについては話し合っているし、今はもう僕たちに影響する段階ではない。それは明らかにファンからの敬意の表れだ。どうするかはファン次第だけど、少なくとも“それが僕たちに影響していない”ということは伝えておきたい」
キャプテンの言葉は、チャントを巡る迷いや不安を抱えていた多くのサポーターの背中を、そっと押すものだった。
事故直後の“本当に辛かった時間”
もちろん、ここに至るまでが簡単だったわけではない。
ファン・ダイクは、ジョタの死から間もない時期を振り返っている。
「プレストンとの親善試合は、本当に、本当に辛かった。事故からまだ2週間しか経っていなかったからね。ボーンマスとのホームゲームでの黙祷も、とても厳しいものだった」
悲しみが生々しく残る中で行われた試合は、選手たちにとって耐え難い時間だった。
今は“力”に変える段階へ
それでも、チームは前を向き始めている。
「今は、それを“力”に変えたい段階に来ていると思う。ディオゴは僕たちに成功してほしいと願っているはずだし、うまくいってほしいと思っているはずだ。それが一番大事なことだ。ファンが歌っているのも、敬意からだと思う。彼はそれに値する存在だからね」
チャントは悲しみを掘り起こすためのものではなく、ジョタとともに前へ進むためのものだと、キャプテンは受け止めている。
ロッカーは今も空いたまま
現在、アンフィールドでは恒久的な追悼施設の準備が進められている。
それでも、選手たちは「それだけでは足りない」と考えている。
トレーニング施設とスタジアムの両方で、ディオゴ・ジョタのロッカーは、今も空いたままだ。
「それは、彼の記憶を生かし続ける責任が、僕たち選手にあるということだと思っている」
チーム内での支え合い
ファン・ダイクは、チームミーティングでのやり取りも明かしている。
「誰かが自分の感情について話したいなら、僕たちはここにいるし、これからもずっといる、と伝えた。準備ができていようがいまいが、対処できる状態だろうがなかろうが、ディオゴのことを思い出す瞬間は必ず来る。大事なのは、その後どう反応するかだ。そして選手たちは本当に素晴らしかった」
悲しみを押し殺すのではなく、共有し、受け止める。
その姿勢が、チームを少しずつ前へ進ませている。
「彼は永遠に記憶されるべき存在」
ジョタのレガシーは、一時的なものではない。
「1年や2年、3年だけの話ではない。彼は永遠に記憶されるべき存在だ。それをどう実現するか、クラブとも話し合っていく。その役割を、僕と主力選手たちが担っていくつもりだ」
特別な一戦へ
12月27日のウルブス戦は、ジョタが在籍した2つのイングランドのクラブが、彼の死後初めて対戦する試合となる。
試合前には、ジョタの2人の子どもであるディニスとドゥアルテがチームとともにピッチへ入場。
アンフィールドは、改めて背番号20を想い、一体となる。
- ファン・ダイクは「ジョタのチャントは問題ない」と明言
- それは悲しみではなく、敬意と前進の象徴
- 事故直後は苦しかったが、今は“力”に変える段階
- ロッカーは今も空いたまま、記憶を生かし続ける決意
- ジョタは「永遠に記憶される存在」である
アンフィールドで歌われるそのチャントは、
過去を悼むためではなく、ディオゴ・ジョタとともに未来へ進むための歌だ。
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