その言葉は、あまりにも淡々としていた。
アルネ・スロット監督は、期限付き移籍中のハーヴェイ・エリオットについて、
「彼はアストン・ヴィラの選手だ」と、再び距離を置く姿勢を明確にした。
しかし、そのヴィラ側もまた、
「彼を買い取るつもりはない」と公言している。
――どちらのクラブにも“居場所がない”。
かつてリヴァプールで149試合に出場し、
6つのタイトル獲得に貢献した22歳の才能は、
今、キャリアの中で最も不安定な立場に置かれている。
“ヴィラの選手”と呼ばれたリヴァプールの男
エリオットは昨夏、出場10試合で3500万ポンドの完全移籍が義務付けられる条項付きで
アストン・ヴィラへと期限付き移籍した。
しかし、10月以降、彼はピッチにほとんど立てていない。
現在の出場数はわずか5試合。
条項が発動される可能性は、事実上消滅している。
それにもかかわらず、スロットはこう言い切った。
「彼はアストン・ヴィラの選手だ。アストン・ヴィラの選手について聞きたいなら、ウナイ・エメリに聞くべきだ」
記者が「彼は技術的には今もリヴァプールの選手だ」と指摘しても、スロットは“リコール条項が存在しない”事実を繰り返すだけだった。
それは、「この問題は私の管轄ではない」という、はっきりとしたメッセージでもあった。
買われず、戻れず、動けない
ヴィラは、3500万ポンドの買い取り条項を発動する意思がないことを認めている。
一方で、契約を途中で打ち切るには違約金が発生する。
つまり――
エリオットの運命を動かす“鍵”は、ヴィラ側が握っている。さらに状況を難しくしているのが、FIFAの規定だ。
彼はすでに今季、
リヴァプールとヴィラで公式戦に出場しているため、ヨーロッパ内で三つ目のクラブに移籍することができない。そのため、一時はMLS(メジャーリーグ・サッカー)のシャーロットFCへの半年間の期限付き移籍という案まで浮上した。
だが、エリオット自身はアメリカ行きを望んでいないと報じられている。
結果として、彼は今――
- ヴィラでは使われず
- リヴァプールには戻れず
- ヨーロッパでは動けない
という、完全な“行き詰まり”の中にいる。
もし、このままシーズンが終われば
最後に彼が公式戦に出場したのは、
10月2日のフェイエノールト戦。このまま状況が変わらなければ、エリオットはシーズンの大半を“試合に出ないまま”過ごすことになる。
22歳という年齢は、成長と経験を積むうえで、最も重要な時期だ。それを失うことの代償は、単なる“半年間のブランク”では済まない。
まとめ
ハーヴェイ・エリオットは今、
どのクラブからも「自分たちの選手」と言われない場所に立っている。
スロットの
「彼はアストン・ヴィラの選手だ」という言葉は、
冷酷に聞こえるかもしれない。
だが、それは同時に――
リヴァプールが主導権を渡さないという、クラブの強い意志でもある。
- 契約を終わらせたいなら、ヴィラが動くべき
- そのための代償も、ヴィラが支払うべき
その構図は、はっきりしている。
問題はただ一つ。
その“交渉”が行われるまで、
エリオットの時間だけが、止まり続けてしまうことだ。
かつてアンフィールドで輝いた才能は、
今、キャリアの岐路に立たされている。
動けないまま季節が過ぎていくのか。
それとも、どこかで“扉”が開くのか。
この冬は、ハーヴェイ・エリオットという選手の未来を左右する、静かで、しかし極めて重要な時間となっている。
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