フィルジル・ファン・ダイクがリヴァプールの歴史を変える存在となる、その少し前――。キャリアを左右する決断の裏側で、一本の電話が交わされていた。
2017年末、サウサンプトンからの移籍を巡って複数のビッグクラブから関心を集めていたファン・ダイクは、最終決断を下す前にリヴァプールの象徴スティーヴン・ジェラードへ電話をかけていたという。
「リヴァプールについて少し教えてほしい」
ジェラードとの会話、ジョーダン・ヘンダーソンやユルゲン・クロップの存在、そして自身の中にあった強烈な思い――。最終的にアンフィールドを選んだファン・ダイクは、その後プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制し、今ではクラブのキャプテンとして歴史に名を刻んでいる。
「あのクラブでどうしてもプレーしたかった」
加入から8年以上を経て明かされた、リヴァプール移籍を決断するまでの知られざる物語を、ジェラードとファン・ダイク本人が振り返った。
ジェラードはこう語った。
「実は当時、彼から電話がかかってきたんだ。彼の代理人とはよく知り合いだった。獲得に動いていたのはシティとリヴァプールだったと思う。彼は僕にこう言った。『どちらかを勧めてほしくて電話したわけじゃないよ。あなたがどちらを勧めるかは分かっているから。でも、リヴァプールについて少し教えてくれない?』ってね。だから僕はこう答えたんだ。『クラブが何を大切にしていて、どんなクラブなのかという話なら、もう答えは分かっているだろうから、僕に聞く必要はないと思うよ』って。すごく興味深い会話だったし、最終的に彼が僕たちを選んでくれて本当にうれしかった。」
番組内でその話を聞いたファン・ダイクも、当時のことをはっきり覚えていると明かした。
「もちろん覚えているよ。あなたとヘンド(ジョーダン・ヘンダーソン)、そしてユルゲン(・クロップ)は、僕にとって本当に大きな存在だった。あなたと直接話せたこと自体が、僕にとってものすごく大きかったんだ。『絶対にこのクラブでプレーしたい』という気持ちが本当に強かった。ものすごく強烈な感情だったよ。それに、ファンも初日から僕を受け入れてくれた。デビュー戦でエヴァートン相手にゴールを決められたことも、かなり大きかったけどね(笑)。」
2017年末、ファン・ダイクには選択肢があった。
欧州屈指のセンターバックを巡ってビッグクラブが動くなか、それでも彼の心を強く引き寄せたのはリヴァプールだった。
そして、その決断を後押しした一人が、かつてアンフィールドでキャプテンマークを巻き続けたジェラードだった。
あれから約8年。
プレミアリーグ2度の優勝、チャンピオンズリーグ制覇をはじめ、数々のトロフィーを獲得。374試合に出場し、今では自らがキャプテンとして次の世代を導く存在となった。
当時、ジェラードに「リヴァプールとはどんなクラブなのか」と尋ねた選手が、今ではその答えを誰よりも体現している。
そして何より印象的なのは、ファン・ダイク自身が振り返った言葉だ。
「絶対にこのクラブでプレーしたかった」
デビュー戦となったエヴァートン戦での決勝ゴールから始まり、欧州制覇、リーグ優勝、そしてキャプテン就任へ。
あの日の一本の電話から始まった選択は、ファン・ダイク自身のキャリアだけでなく、リヴァプールの一時代をも形作ることになった。
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