スティーブン・ジェラードにとって、“あの日”は一生消えない。
2013/14。
あと少しで届いたプレミアリーグ。
そして訪れた、あまりにも残酷な瞬間。
リヴァプールの象徴だった男は、その傷を今でも抱えている。
「あれは今でも自分を苦しめる」
そう語ったジェラードが、今度はモハメド・サラーへ深い感謝を口にした。
「彼は、自分を癒やしてくれた」と。
それは単なる“偉大な後輩への賛辞”ではない。
サラーが再びリヴァプールを頂点へ戻したこと。
そして、“ジェラードが叶えられなかった夢”を実現したこと。
その全てが、ジェラードの心を救っていた。
あの出来事について、ジェラードは最近『The Overlap』でこう認めている。
「あれは、今でも自分を苦しめる」
そして彼は、完全にその痛みを忘れることはできないとも理解している。
それでも、リヴァプールFC制作のサラー特別映像の中で、エジプト代表FWが自身の“癒やしの過程”を助けてくれたと語った。
「ここ10年間、ファンとして見てきて、彼がクラブのためにやってくれたこと。そして、自分個人のためにしてくれたこともある。自分自身の“傷”や“癒やし”に対してもね。リヴァプールでのキャリア終盤は、自分にとって本当に苦しいものだったから。彼が自分個人にもたらしてくれたもの、それを自分は理解しているし、本当に感謝している。個人としての凄さだけじゃない。チームへ与えた影響や貢献も含めてだ。彼は“世界最高レベルの才能”だよ。リヴァプールでの時間を通して、誰とでも比較されるべき存在だ。彼は本当に特別な選手だ。唯一無二なんだよ。一つの時代を代表する選手だ」
ジェラードは、ファンとしてサラーを楽しんできただけではない。
33歳のサラーにとって、彼は重要な相談相手でもあり続けた。
サラーがシーズン途中での退団を考えていた時、ジェラードは彼の家で夕食を共にし、“クラブを去る正しい方法”について助言を送っていたという。
サラーはTNT Sportsで、その時の会話についてこう語った。
「あの時の会話は今でも覚えているし、本当に感謝している。たぶん、みんなはあなたが自分の家に来ていたことを知らないと思う。良いディナーだったことを願ってるよ!本当に良い会話だった。あなたは自分の考えを話してくれたし、自分はそれを本当に、本当に感謝している。そして今、自分が“正面玄関から”クラブを去れることを嬉しく思っている。それも、あなたが自分に言ってくれたことだった。『自分の意思で、自分のタイミングで去れ』ってね。その言葉は今でも覚えているよ。だから、自分は今幸せなんだ。今季起きた全てのことが、“もう行く時なんだ”って思わせてくれた」
そして退団目前となった今、サラーは改めて「後悔はない」と強調している。
彼は時間をかけて考えを変えようともした。
しかし最終的に、“物事は正しい方向へ進んでいなかった”と悟ったという。
モハメド・サラーは、
ただゴールを決める選手ではなかった。
彼は、
クラブの歴史そのものを救った存在だった。
ジェラードが届かなかった場所へ辿り着き、
リヴァプールを再び“世界最高のクラブ”へ戻した。
だからこそ、
ジェラードは“癒やされた”と言ったのだろう。
それは敗北を忘れたという意味ではない。
むしろ逆だ。
あの悔しさを知っているからこそ、
サラーがもたらした成功の価値を、誰より理解している。
そして今、サラーもまた去ろうとしている。
“正面玄関から”――。
それは、
伝説だけに許される別れ方だ。
ジェラードからサラーへ。
そしてサラーから次の世代へ。
リヴァプールの魂は、こうして受け継がれていく。
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