アンドニ・イラオラは、プレシーズン開始からわずか1週間でルイス・クーマスを今季の構想に組み込むことを決めていた。
しかし、土曜日に21歳の誕生日を迎える若きアタッカー本人は、その事実を当時まだ知らなかったという。
昨季までチャンピオンシップへのローン移籍を重ねてきたクーマスは、今季リヴァプールに残留。すでにプレミアリーグとチャンピオンズリーグの舞台を経験し、新体制の中で着実に存在感を高めている。
イラオラが評価するのは、複数の攻撃ポジションをこなせる柔軟性だけではない。チームのために走り、プレスをかけ、すべてを出し切る献身性だ。
一方、クーマス自身は「ファンが見ているのはまだ自分の一面だけ」と語る。
ゴール、スピード、背後へのランニング――。リヴァプールで生き残るため、自身が持つ攻撃面の武器もこれから証明していくつもりだ。
「アメリカ遠征の終盤くらいに、残ることが分かった」
イラオラはプレシーズン最初の週に、クーマスを今季のスカッドに残す考えを固めていた。
しかし、本人はその時点では自身の立場を確信できていなかった。
クーマスはLiverpoolfc.comのインタビューで、当時をこう振り返る。
「間違いなく、まだ気を抜ける状態じゃなかったよ!たしかアメリカでのプレシーズンツアーが終わりに近づいた頃だったと思う。そこで、自分がチームに残ることになりそうだっていう感触を得たんだ。すごく良い気分だったよ。もちろん僕の狙いは、監督に良い印象を与えることだった。それは間違いない。みんながそうしたいと思っているはずだからね。僕にとっては、ここからさらに一段階上へ進まなければならないシーズンだった。だから、この一年がすごく重要になることは分かっていた。新しい監督が来て、もちろん大きなチャンスでもあった。今のところは、うまくいっていると思うよ。この2週間くらいは本当に少しクレイジーだったね。プレミアリーグでデビューして、チャンピオンズリーグでもデビューできた。でも今のところ、物事がどう進んでいるかには本当に満足している。」
イラオラが評価する“自己犠牲”と万能性
クーマスは2026-27シーズンここまで、ニューカッスル・ユナイテッド戦、イプスウィッチ・タウン戦、アトレティコ・マドリード戦で途中出場している。
イラオラは以前、クーマスについて7番、9番、10番、11番と複数のポジションをカバーできることに加え、チームのためにハードワークできる姿勢を高く評価していた。
本人にとっても、その献身性は自分のプレースタイルそのものだという。
「それが自分という選手なんだと思う。リヴァプールでプレーすることが何を意味するのかは分かっている。だからピッチに立ったら、毎回すべてを出し切ろうとする。僕は試合に影響を与えられる選手だと思っている。それは間違いない。今のところファンが見ているのは、僕が試合に影響を与えられる方法のひとつ、つまり走り回ってプレスをかける部分だと思う。でも僕は、プレーのクオリティという部分でも多くのものを加えられる。フィニッシュもできるし、背後へ走ることもできる。スピードもある。今は、そういう部分も見せていきたいと思っている。」
18歳で決めたアンフィールド初ゴールから2年半
クーマスがリヴァプールのトップチームで初めて出場したのは、およそ2年半前。
当時18歳162日だったアカデミー出身のアタッカーは、アンフィールドで行われたFAカップのサウサンプトン戦で先制ゴールを記録した。
その後はストーク・シティ、バーミンガム・シティ、ハル・シティと、チャンピオンシップへのローン移籍を経験。
トップチームで定位置を争う現在の自分は、当時とは大きく違うと感じている。
「違いはものすごく大きいと思う。今はずっと成熟している。試合が何を求めているのかも分かるようになったし、何より今は男子のトップレベルのフットボールがどういうものなのかを理解している。この2年間は、自分の成長にとって本当に重要だったと思う。」
「リヴァプールでピッチに立つことを当たり前にできない」
クーマスが次に見据えるのは、火曜日にアンフィールドで行われるカラバオカップ3回戦のトッテナム・ホットスパー戦だ。
出場すれば、リヴァプールでの公式戦5試合目となる。
過密日程の中でメンバー変更も予想される一戦だが、クーマスはどんな形でチャンスが訪れても準備はできていると強調する。
「リヴァプールでピッチに立てる時は、それを絶対に当たり前だと思ってはいけない。周りにはこれだけクオリティの高い選手たちがいるから、次のチャンスがいつになるのか分からない。もしかしたら、それが最後になるかもしれない。だから毎試合、ピッチですべてを出し切って、できる限り試合に影響を与える。それが僕のプランだ。準備はできていると感じているし、毎日良い感覚で過ごしている。トレーニングや試合の後も、できる限りリカバリーを最大限にしている。だから、いつでも準備はできているよ。」
2024年のリーグカップ優勝メダルは「壁に飾ってある」
クーマスにとって、リーグカップには特別な思い出がある。
2024年2月、ウェンブリーで行われたチェルシーとの決勝。リヴァプールは延長戦の末に勝利し、タイトルを獲得した。
当時のスカッドに入っていたクーマスも優勝メダルを手にしている。
そのメダルは今も大切に保管されているという。
「メダルは額に入れて、壁に飾ってあるよ。最初にやったことがそれだった。正直、あの場所にいられたこと自体が信じられないような経験だった。そこでメダルまで貰えたのは、本当に素晴らしいことだったね。あの時ピッチに立っていた選手たちは、みんな本当に若かった。その選手たちがあれだけのプレーをしたことは、本当に、本当に刺激になった。今季は間違いなく、トロフィーを獲ることを目指している。だから、それを実現できたらいいね。」
18歳でアンフィールドに初ゴールを刻み、その後は3クラブへのローン移籍で経験を積んだ。
そして今、クーマスはようやくリヴァプールのトップチームで継続的にチャンスを掴もうとしている。
イラオラがプレシーズン開始直後から見抜いていたのは、その万能性だけではない。
走ることを惜しまず、チームのために働き、限られた時間でも試合に影響を与えようとする姿勢。
だが、クーマス自身はそれだけで評価されるつもりもない。
フィニッシュ、スピード、背後への飛び出し。攻撃者として持つ本来の武器を、これからさらに示そうとしている。
「リヴァプールでピッチに立つことを当たり前にできない」――。21歳を迎えるクーマスにとって、今季はただトップチームに残るための一年ではない。与えられた一瞬一瞬を結果へ変え、リヴァプールで自分の場所を確かなものにするためのシーズンが始まっている。




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