アンドニ・イラオラにとって、リヴァプールを率いて初めて臨んだアメリカツアーは、単なるシーズン前の調整期間ではなかった。
「本当に、本当に有意義だった」
約2週間にわたって選手たちと時間を共有し、自らの考えを伝えながら、新しいチームを知る。その過程で指揮官が特に手応えを感じたのが、アカデミーから加わった若手選手たちの存在だった。
プレミアリーグの相手にも臆することなくデュエルで戦い、チームの戦術にも適応。イラオラは「このレベルでプレーできることを示してくれた」と評価し、何人かを今季のトップチームに残す考えまで明言した。
そして、新生リヴァプールを作っているのはピッチ上の選手たちだけではない。ボーンマス時代からイラオラを支えるショーン・クーパーと、生粋のリヴァプールファンであるトミー・エルフィック。さらに新GKコーチのアレハンドロ・ロサレン――。
開幕まで残り3週間。アメリカで積み重ねた時間から、イラオラが築こうとしている新たなリヴァプールの土台が見え始めている。
――まず、この2週間をどのように感じていますか? 選手たちに伝えられたこと、そして選手たちから見ることができたものという点で、どのような時間になりましたか?
「本当に、本当に有意義だったと思う。当然、選手たちやスタッフと非常に多くの時間を一緒に過ごすことができるし、可能な限り多くの情報を得ることができる。そして、チームとしての進歩もあると思う。そうでければならないからね。僕たちはお互いのことをより深く理解し始めているし、自分たちが何をしなければならないのかも分かってきている。試合を重ねるごとに、少しずつ、少しずつ目指すところへ近づいていければと思っている。そして、まだここに来ていない数人の選手たちがトレーニングを始めた時には、すでに取り組んできた選手たちが彼らの適応を助けられるような状態にしておきたい。」
――特に満足していることはありますか? 今回のキャンプで「これが一番良かった」と挙げられるものがあるとすれば何でしょう?
「おそらく若手選手たちのパフォーマンスだね。結局のところ、U21やアカデミーから多くの選手が参加している。そして彼らは、プレミアリーグのチームや非常に優れた選手たちを相手に、本当に良いパフォーマンスを見せてくれた。デュエルでも勝っているし、チームとして取り組んでいることにも貢献してくれている。おそらく、それが一番良かったことだと思う。『驚き』とまでは言わないけど、少なくとも彼らの実力を確認することができた。」
――最初から若手選手たちを見ることを楽しみにしていると話していました。実際に彼らは良いパフォーマンスを見せています。今後、トップチームに残すのか、U21へ戻すのか、それともローンへ出すのかを決める必要がありますね?
「そうだね。選手によってさまざまなケースがある。U21へ戻る選手もいるし、ローンへ行く選手もいる。そして、僕たちと一緒に残る選手もいる。シーズンを戦っていく中で、彼らの力が必要になると思っているからね。彼らは、このレベルでプレーできることを僕に示してくれた。試合で質の高いプレー時間を与えてくれるし、トレーニングでも高いレベルを示してくれる。だから、何人かは間違いなく僕たちと一緒に残ることになると思う。」
――今回のツアーはコーチ陣とより多くの時間を過ごす機会にもなりました。ショーン・クーパーとトミー・エルフィックは、あなたがボーンマスへ加入した時からいたコーチですが、早い段階から長く一緒に仕事をすることになると感じていたのでしょうか?
「そうだね。僕にとってトミーとショーンは非常に大切な存在だ。2人ともイングランドで選手としてプレーし、プレミアリーグ、チャンピオンシップ、リーグ1を経験している。この国の文化を理解しているし、選手たちが何を考えているのかも理解している。それに、チームをどのように作っていくのかというプロセスも経験してきた。僕がボーンマスへ行った時、僕たちはお互いのことを知らなかった。でも、この3年間でチームが進化し、さまざまなものを加えていく、そのすべての過程を彼らは見てきた。だから今、僕たちがやろうとしていることを選手たちや、もともとクラブにいた新しいコーチたちへ伝えるうえで、彼らは最適な存在だと思っている。本当にたくさん助けてもらっているよ。時には僕以上に選手たちと密接にコミュニケーションを取っていると思う。監督と選手の間には、どうしても少し距離が生まれるからね。選手たちも、アシスタントのほうが話しやすい場合がある。彼らは情報をどのタイミングで僕に伝えるべきなのかも分かっている。僕が知る必要のあることは伝えてくれる。でも時には、彼らと選手たちの間だけに留めておくべきこともあって、そういうことは僕には話さない。その部分でも、本当に素晴らしい仕事をしてくれている。」
――トミーはリヴァプールファンでもあります。それだけに、今回の仕事は彼にとってさらに特別なものですね?
「トミーには、『君は今、夢を生きているんだ』と言っているよ。実はこの夏、彼にはチャンピオンシップで監督をするチャンスもあったと思う。いくつかの良いクラブから声がかかっていた。でも、彼はこのチャンスを逃すことができなかったんだと思う。昔から大のリヴァプールファンだからね。この前もその話をしていたんだけど、ここでロビー・ファウラーやイアン・ラッシュといったクラブのレジェンドたちに会って、彼は『うわぁ、これはすごいな……』という感じだった(笑)。彼がこの経験を心から楽しんでいる姿を見るのは僕もうれしいし、彼にとって本当に素晴らしいことだと思うよ。」
――アレハンドロ・ロサレンが新しいGKコーチに就任しました。どのような経緯で彼を迎え、チームに何をもたらしてくれると考えていますか?
「僕は彼のことを個人的には知らなかった。クラブとGK部門が中心となって選考を進め、そのプロセスを経て、彼が適任だと判断した。非常に豊富な経験を持っている。フィオレンティーナで長く仕事をしてきたし、ナポリでも長年にわたって素晴らしい監督たちと仕事をしてきた。セリエAのタイトルも獲得している。そして実際に会って面接をした時、彼の人柄もすごく気に入った。話をしていて、良いと思える部分がたくさんあったんだ。チームに良いエネルギーをもたらしてくれるし、GK陣にとって大きな助けになると思っている。ここまでも本当に良い仕事をしてくれているよ。」
結果だけを見れば、サンダーランドとレクサムに連勝したアメリカツアー。しかし、イラオラが最も価値を感じているのは、その2勝だけではない。
選手たちが指揮官の要求を理解し、指揮官もまた一人ひとりの特徴を知る。さらにコーチ陣との連携を深めながら、これから合流する主力選手たちを受け入れるための土台を作る――この2週間は、新体制を形にしていくための重要な時間となった。
なかでも大きな収穫となったのが、若手選手たちだ。
「彼らはこのレベルでプレーできることを示してくれた」
U21へ戻る者、ローンで経験を積む者、そしてトップチームに残る者。それぞれ異なる道を歩むことになるが、少なくとも何人かはイラオラの構想に食い込み、長いシーズンを戦う戦力になる可能性を自らのプレーで証明した。
そして、その成長を支えるスタッフの存在も欠かせない。選手と監督の間をつなぐクーパーとエルフィック、新たな刺激をGK陣にもたらすロサレン。イラオラは決して一人で新しいチームを作ろうとしているわけではない。
主力が戻り、競争が本格化すれば、ここからチームの姿はさらに変わっていく。
それでも、このアメリカで築いた土台は消えない。
新生リヴァプールの最初の2週間で得たものは、勝利以上に大きい。
イラオラと選手、スタッフが互いを理解し始めた今、本当のチーム作りはここからさらに加速していく。
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